住まいと民俗 −住意識の変容−

多田井 幸視著
(長野県上田市立東小学校教頭
/1951年生まれ)


2002年4月刊
A5判・322頁・上製本・函入り
ISBN4-87294-242-6
6900円
住まいは、衣食住をはじめ、生業、信仰、家族、対ムラ社会等々とも深く関係し、外観の民家調査だけからでは推し量ることができない奥の深い分野である。特に昭和30年代までの住まいは、一つ屋根の下で肩を寄せ合う家族の「生」への願いの場であるとともに、人々の喜怒哀楽が連綿と伝承されてきた場でもあった。そこでの住まいに寄せる想いは、イエとの関係が大きく影響していた。
 本書では、全国的にも特色のある切妻造り妻入り住居の本棟造りをはじめとする長野県内の事例をもとに、住まいに対する人々の意識とその変容を明らかにする。
【主要目次】
第1章 環境と家屋敷の変化
第1節 ムラ境の変化
自然とムラ境/生活とムラ境/ムラ境の変化
第2節 水の利用と災害
水の利用/屋敷地と地すべり
第3節 環境の変化と家屋敷
家屋敷と環境/家屋敷の変化
第2章 移り変わる住まい
第1節 住まいの変容
住まいと生活/農村における居住意識/
住まいと出入り口/養蚕農家の住居空間
第2節 長野県下各地の住まい
座敷を中心とした間取りの変化/
鬼無里村の民家と間取り/屋敷と母屋/
民俗文化財としての民家
第3節 イエと住まい
店を継ぐ/家業を継ぐ/家の構え/家族とともに
第4節 移り変わる住まい
改造される住まい/新築と住まい/土間と庭の衰退/
場所の移動/住まいと境
第3章 本棟造りの住意識
第1節 本棟造り住居にみる地域性
―民俗学からみた同一性と差異―
第2節 小曽部谷の本棟造り
―塩尻市小曽部の住意識―
第3節 本棟造り民家の象徴性
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