中近世放浪芸の系譜

渡邊 昭五 著

(大妻女子大学教授)

2000年2月刊
A5判・772頁・上製本・函入
ISBN4-87294-161-6
18800円

「大衆稗史の正統部分である庶民芸能史に興味を抱き始め、死ぬまでに1冊の通史のようなものをまとめたい、とは私のその頃以来30年の夢であった。改めて、疎外されてきた被差別民を中心とした彼らの日本文化に貢献した実績を、書き記しておきたい…、と考えた。歴史は、重税を収奪し贈賄に甘い汁をすすり続けてきた連中ばかりにあるのではない…ということを、訴えたい、と思った。日本文学史は、いつまでも王朝文学の物語や和歌の伝承を引き曳っているのではない…と云いたかった。」 (本書「あとがき」より)

日本学術振興会 平成11年度 科学研究費補助金「研究成果公開促進費」交付図書。


【主要目次】

第1章 平安期の散楽と解頤劇
天鈿女命の狂態/散楽の渡来と沿革/三代実録以降の相撲節会と散楽/11世紀以降の相撲節会と散楽/烏滸と滑稽解頤劇)

第1章補 中世放浪芸の母胎

第2章 永長大田楽から田楽法師原へ
(初期田楽の性格/猿楽法師登場/他)

第3章 七道者の性格
(白拍子・歩き巫女・鉦叩き/乞食/猿飼/中世の都市流浪民)

第4章 絵解き大道芸と売春・鉦叩き・人形遣い
(絵解き法師/熊野比丘尼/他)

第5章 語り物芸人の系譜
(安居院唱導僧/当道座の流れ/物語僧と琵琶法師/太平記と時衆の聖たち)

第6章 太平記語り手と中世禅律衆
(怪力僧本性房/禅律僧と敗残兵/律僧文観/他)

第7章 歩き巫女の拡散と芸能化
(梁塵秘抄の巫女/中世の梓巫女/他)

第8章 中近世期の門付芸
(鹿島の事触れ:西鶴・近松の用例、弥勒踊、他/風神払と感冒/放下僧の大道芸)

第9章 弘法大師を騙った偽僧たち−高野聖

第10章 声聞師と万歳
(語源/下級陰陽師への変質/千秋万歳/声聞師と一向一揆/他)

第11章 芸能と芸能者−むすびに代えて

付 章 掛幅絵伝史−宗僧掛幅絵伝絵解き史の緒論



ご注文へ