近世田租法の研究
―秋田藩渋江田法の実態―

菊地 仁著
(元 大館市史編さん室嘱託)

1999年4月刊
A5判・350頁・上製本・函入
ISBN4-87294-137-3
9900円

「本書は、秋田藩の稲作生産と年貢取立法に関する通説を打破し、さらに通説の依存する大石久敬著『地方凡例録』の矛盾と秋田県編『秋田県統計書』の誤りを指摘して、秋田藩のみならず幕藩制の税法全般にわたる再検討を提起している。著者菊地仁氏の論理と実証は精密をきわめる。…単純な貧農史観の見直しが要求されている現在、本書は秋田県北の一地域より近世史像再構築の役割を果たすものである。」 (三宅正彦氏「序」より)
「渋江田法」の名で知られる秋田藩の田租法は、藩政初期の家老渋江政光が創始したと古くから伝えられ、藩政後期には新田目道茂が詳細な解説書を著している。しかし、戦後、「渋江田法」の信憑性は否定されてしまった。本書は、渋江政光の「御当国御格式検地秘伝之書」を徹底的に分析することにより、その実態を明らかにしたものである。


【主要目次】

序―菊地仁氏の業績を読解する前提として―(三宅 正彦)

序 章 秋田藩検地の概観

第一章 御当国御格式検地秘伝之書
渋江田法における免と定免/定免・免の応用/追加苗代歩積之伝

第二章 黒印御定書と家臣の知行
四季民役・口米と黒印御定書/諸給人知行所務相定条々

第三章 土 免 法
黒沢流土免法/土免法別伝『苅詰・籾詰・人詰』
第四章 通説を検証する
明治の地租改正と秋田県統計―生産量と収穫米―/『地方凡例録』の作徳勘定/秋田藩田租法の通説を検証する/渋江田法虚構説を検証する

終 章 秋田藩の年貢の実態
年貢の実態/史料に基づく収量計算/四分の一の年貢は低過ぎるか/小作料調査概観


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