中世の城と祈り
―出羽南部を中心に―


伊藤清郎著

(山形大学助教授)

1998年4月刊
A5判・150頁・並製本・カバー装
ISBN4-87294-102-0
2000円 品切れ

2001年6月 2刷出来

本書では、まず中世城館の原初形態とみなされる「鉢巻式」山城について考察し、ついで13世紀末〜14世紀あたりから方形館の防御施設が増強され、それが山際に移り根小屋式山城が形成されていったことを見る。そして、その城郭が街道沿いに見事に分布していることを明らかにした。
本書のもう一つのテーマである「祈り」と城郭については、最上成沢城を例に、蔵王信仰を構成する龍山仏教文化との関連で捉え、信仰の場に山城が築造されることを見る。 そして最後に、戦国大名最上氏が支配を拡大していく様相を、城郭の配置などをもとに、周辺の政治的動向とともに考察する。


【主要目次】

序 論 城郭研究と出羽
中世城郭とその魅力/城郭研究の現状と今後の課題

第1章 「鉢巻式」山城試論
問題の所在/出羽南部の事例をめぐって

第2章 方形館から根小屋式山城
小田島荘と方形館/根小屋式山城

第3章 街道と城郭
小田島荘と方形館/根小屋式山城

第4章 最上成沢城をめぐって―霊場と城郭―
成沢城をめぐる歴史/成沢城の構造とその特色

第5章 最上氏領国と城郭
最上氏権力と天正12年/最上氏と境目の城

結 び 出羽南部の中世城郭の特色
領国毎の特徴と東国・奥羽/祈りと城郭


ご注文へ