No.462(2007.5)

学振に文句を言う】

 学振(日本学術振興会)出版助成の申請書類に、この春から変更があった。
 昨年11月の申請時点では「なお、出版社の選定に際しては、原則として、事前に複数の出版社等から見積書を徴した上で選定してください。」(ゴジックは原文のママ)とあった。それを春に内定が出たあとの正式申請になって、次のように変えてきた。「「見積書」については、複数の出版社(原則として3社以上)から徴し、各々1部ずつ提出の上、最も安価なものに基づいて「交付申請書」を作成してください。」。
 何が問題か。問題は2つ。
 まず、最安値にしろという。税金を使うのだから、あたりまえかもしれないが、それは経費の全額をだしてくれる場合でしょ。助成額の上限が決められていて、なおかつ、そこから減らされるのだから、足りない分は、自分たちで売って回収しろ、ということでしょ。そうであるなら、どこから出版しようが勝手でしょ。ということである。最安値が最良の選択とは限らない。出すのは専門書である。その本を売るには、その分野に強い出版社から出したほうがいい。仮に、岩田書院が数学の本を出したって売れなし、校正だってできない。
 つぎに、見積書を提出しろという。いままでは「見積書を徴した」と言えばよかったのだが、今度は複数「提出」しなければならない。申請するのは著者である。著者は、まず出して欲しい出版社に話を持っていく。そこで見積書を作ってもらって、それで学振に申請する。これが現状である。今度は、出して欲しいと思っていない出版社に、他社より高い見積書を作ってもらわなくてはならないことになるのである。こんなこと、できるか?。やれるとすると、依頼された出版社が、同業の出版社に頼んで、高い見積書を作ってもらうしかないだろう。これって「談合」だよね。
 この文章、書くかどうか迷っていたが、書いてしまった。これで、学振からにらまれて、助成金が貰えなくなったら困るんだよな〜。でも私、まちがったこと言ってる?。