No251  2002年7月

【定価は高いか】

 先日、読者から電話で問い合わせがあって 定価を言ったら、「べらぼうな〜」と言われてしまった。書名は『江戸の時刻と時の鐘』(240頁、5200円)で、「日経新聞」の文化欄で紹介された時のことである。
 他社の例では、ある書評で「定価が不当に高いのではないか」と書かれているのを見た(『柳田国男と民俗学の近代』、吉川弘文館、314頁、8500円)。確かに1頁あたり27円となり、岩田書院の22円(1頁あたり)と較べても「高い」。でも、それで「不当」と言われては、かわいそう。
  これは、出版社の論理(計算)で定価をつけるからであって、それは読者の価値判断とは違う。これで読者にソッポを向かれたら売れない。でも定価を安くしても売れなかったら赤字になる。赤字になるのは出版社である。…ところで、上記の本、売れたようである。発行後1年たたない内に増刷している(もちろん吉川弘文館の本のこと)。