No.225  2001年12月

【出版助成金の話し:「学術振興会は、どっちを見ている」の巻】

例年、暮れになると日本学術振興会の出版助成金の申請時期になる。正確には「科学研究費補助金(研究成果公開促進費)」というが、以前は文部省が出していたものである。数年前から学振が窓口になって、いろいろと変化があった。まず助成金の申請上限額が決められた。これは絶対金額ではなくて、ある方程式に数値をあてはめるもの。
 直接出版費−(定価×卸売係数0.7×0.5)×(発行部数×0.6)=申請上限額
これだと、定価を高くしたり、発行部数を多くしたりすると、マイナス部分が増えて、助成金の申請額が減る。かなり出版事情を知った人がつくった計算式である。
それは感心するのだが、そのほかは悪い。まず、今回から申請用紙はインターネット上で取り出すことになった。その環境にない人は勝手にどうぞ、というスタンスである。それに、質問しても答えてくれない。もちろん申請者である著者の質問には答えるのだが、われわれ出版者には答えられない、と突っぱねるのである。
 著者は、ほとんどの場合、初めての申請になるのに対して、出版者は毎年申請書類を見ているのである。だから、書類の書き方のポイントはおさえているつもりである。だから質問も正確に質問する。文部省の時は、だれが質問しようが、質問にはちゃんと答えてくれたものである。いったい、だれのために仕事をしてるんだ?。やはり文科省のためにしてるんでしょうね。