森田きよみ著『小天狗道中記』
掲載誌・朝日新聞(2000.9.17)


 天狗に陶酔30年 全国行脚 三橋町森田さん
 天狗にほれ込んで30年―。三橋町の主婦,森田きよみさん(44)が、北は青森から南は鹿児島まで全国百ヶ所以上の天狗信仰の山などを巡って書いた『小天狗道中記―天狗様への旅』(岩田書院)を自費出版した。中学時代に「鞍馬天狗」の本と出会って天狗にひかれ、大学、大学院では天狗信仰や修験道の歴史などを研究。結婚後もこつこつと独学を続けた成果を、軽妙なタッチの本にまとめた。
 岐阜県出身の森田さんは高校のとき、大谷大教授だった故五来重氏の修験道に関する論文を新聞で読み、同大への進学を決めた。研究を進めるうちに「天狗は妖怪のたぐいではなく、山の神様である」との結論にたどりついたという。
 大学院を出てすぐ結婚。二人の男の子に恵まれ,、しばらくは育児に追われたが、天狗への思い断ちがたく、親子連れで天狗信仰の山に登るようになった。日本山岳修験学会でも研究成果を発表している。
 「道中記」では、自ら「小天狗」と名乗る森田さんが、「天狗様」を追いかけて高尾山薬王院(東京)や光丸山法輪寺(栃木)、英彦山(福岡)など日本全国を回った旅を描いた。夫の修示さんと知り合った旅の話や、祭りの調査に出かけるのに日時を間違えた失敗談なども盛り込んだ。
 森田さんは「自然に対する畏怖心が根底にあって、天狗を追い求めてきた。自然の大きさを知ると、生きている喜びも実感できる」という。
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