民俗芸能学会目録編集委員会『民俗芸能文献研究目録』
掲載誌:芸能史研究167(2004.10


 論文や報告書を書くときの基本は、そのことに関する先人の業績を、どれだけきっちりと把握するかである。

 しかしともすれば、文献目録などが完備していない学問領域では、その基本が疎かになりがちである。民俗学やその関連諸分野では、研究者の底辺が広いこともあって、先人の論究や報告を博捜することが難しく、またその手段もあまり整備されているとはいえなかった。

 全国規模の学会は、会員の協力を得て、その分野の基本的文献目録を整理し、研究者の共有財産とすることは大きな使命であるのだが、学会の事業としては、なかなか難しかった。しかしコンピュータの発達した現在、取りあえず過去のデータを入力することは容易になったはずである。

 本書は民俗芸能学会が、民俗芸能に関する文献を、都道府県別に分類し、単行本と雑誌論文に分け、一覧にしたデータブックである。都道府県別では分類できないものは、地方別や、総記、一般という項目を設け、さらには三信遠、南島、海外という分類も設けてある。また最後に芸能別の索引も付されている。

 本来、ある程度完璧なものにして、「民俗芸能文献目録データベース」として、CD−ROMで配布されるはずだが、取りあえず書籍として刊行したようである。そのために活字が小さく読みにくいという難点はいなめない。(K・Y)


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