歴史と文学から信心をよむ

松本 三喜夫 著
(日本民俗学会会員/1950年生まれ)


2015年4月刊
A5判・254頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-906-3 C3039
3600円 (税別)
前著『絵馬をあるきよむ』『「語り」をよむ』(岩田書院刊)に続き、歴史的なできごとについて、歴史的な見方と文学的な解釈を併せて分析を試みる。
現代社会における「個」の所在のなさ、それにともなう存在の不安感は、まさに「病み」にも似ている。どう生き抜くか。それは「病み」や苦しみの種類こそちがえ、歴史の中にあっても同様であった。個人レベルで、あるいは郷レベルで、さらには藩や国家レベルにおいて、生き抜く力をさぐった。基本は、信ずることであった。
序文にかえてでは、ムラ社会がどう信心を受け継いでいったかを、第1章では、地域の信心と外来文化との衝突を、第2章では、現代文明と同様に塵界の中に生きる人間の憧憬したものを、第3章・第4章では、信心をもつ存在が、時代の力にいかに翻弄されたかを、最後の第5章では、幕藩体制下における「異国」の生きる「術」を、それぞれみた。
現地に足をはこび、そこの歴史・文学作品から、「信心」の姿を描き出す。
【主要目次】(取り上げた主な作品)

序文にかえて 信心の宿るところ
      松本清蔵『青龍降臨の宮−稲城百村妙見尊譚−』

第1章 阿弥陀如来来迎
      ウェストン『日本アルプス 登山と探検』

第2章 脱化と塵界 −良寛と菅江真澄−
      水上勉『良寛を歩く』/
      内田武『菅江真澄研究』/
      中津文彦『小説菅江真澄』

第3章 神の民 −五島列島のかくれキリシタン−
      『新魚目町郷土誌』/
      浦川和三郎『五島キリシタン史』/
      山本兼一『銀の島』

第4章 きらびやかな信仰 −薩摩のかくれ念仏−
      かくれ念仏研究会『薩摩のかくれ念仏』/
      司馬遼太郎『尻啖え孫一』

第5章 両属のはざま −琉球王朝の奉納扁額−
      大城立裕『琉球処分』

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