「よさこい系」祭りの都市民俗学

矢島 妙子 著
(明治大学客員研究員/1962年生まれ)


 2015年5月刊
A5判・328頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-893-6 C3039
8400円 (税別)
評者:八木橋伸浩(『日本民俗学』286  pp105  2016.05)
「YOSAKOI ソーラン祭り」は、高知の「よさこい祭り」を参考にして、1992年に札幌で創られた祭りである。この影響で全国に同様の祭りが広がった。「よさこい系」の祭りとは、原則として鳴子を持ち、地元の民謡などを取り入れて踊る祭りである(著者の定義)。これは祭りとしてのオリジナリティがあり、基本的に参加集団も披露される踊りも毎年変わる、常に変化し続ける祭りである。
本書では、高知・札幌・仙台・名古屋の「よさこい系」祭りを取り上げる。高知は「よさこい系」祭りの本家、札幌は第一伝播先(第二本家)、仙台は対象地域拡大の例(東北6県)、名古屋は対象地域開放の例(名古屋の祭りではなく名古屋に集まる)である。
これらの祭りから、新しい祝祭論の提示と都市における伝承母体の再検討をおこなう。
【主要目次】

序 章 本研究における問題の所在

第T部 「よさこい系」祭りの概説
第1章 「よさこい系」祭りの全国展開についての概観と特徴

第U部 祭りの空間的伝承性
第2章 「よさこい系」祭りにみる地域性・地域表象
第3章 「よさこい系」祭りの伝播
第4章 「よさこい」の正統性

第V部 祭りの時間的伝承性
第5章 都市祝祭におけるオーセンティシティ再考
     −祭りの参加集団にみる地域表象−
第6章 「YOSAKOI ソーラン祭り」の参加集団・運営集団にみる
     都市性と継承性
第7章 「YOSAKOI ソーラン祭り」の地域密着型参加集団の
     歴史・社会背景

第W部 「都市の伝承母体」論
第8章 フォークロリズムの視点からの「都市の伝承母体」再考
第9章 地域拡大・開放と地域再確立−仙台・名古屋の事例を中心に−

結 章 総括と今後の課題

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