神話の生成と折口学の射程

保坂 達雄 著
(東京都市大学名誉教授/1948年生まれ)


2014年11月刊
A5判・498頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-887-5 C3095
14800円 (税別)
評者:上野誠(『日本文学』64-6  pp57-59  2015.06)評者:三浦佑之(『口承文芸研究』39  pp234  2016.03)
日本の神話や歴史伝承はどのようにして創られてきたのか。
「このようなシャーマニズムに基づいた文学の信仰起源説は、言うまでもなく日本文学の発生を繰り返し問い続けた折口信夫の方法でもある。本書はこの方法に依拠することになるが、折口信夫その人とその学問について考察を加えることも、本書の課題の一つである。不世出の国文学者折口信夫とその学説形成過程の考究は、筆者のようにその学統に繋がるものの責務であると同時に、自身の研究を不断に問い直し続けることに繋がる。したがって、古代の文字テクストを読む行為と折口信夫を一つのテクストとして読み込む行為は、筆者にとっては車の両輪のようなもので、片方が脱輪したらまったく走行不能になってしまうようなことなのである。」(本書「序」より)
【主要目次】

第一部 琉球第一尚氏の歴史伝承と信仰
 琉球国王の出自をめぐる歴史伝承/
 「佐銘川大ぬし由来記」の伝承世界/
 場天ノロから聞得大君へ、あるいはテダシロからツキシロへ

第二部 神話の生成とシャーマニズム
 誕生と降雨―雨乞い謡における観念の古層/
 東アジアの日光感精型神婚譚/
 神功皇后と「如意珠」/
 「角鹿」というトポス/
 女の流離と女神の生成/
 天下を知る神、クエビコ

第三部 出雲国造の歴史と就任儀礼
 出雲国造神賀詞奏上儀礼の再検討/
 出雲国造関係記事 私注/
 「忌部神戸」と「三沢郷」

第四部 希求する青年折口信夫
 言語学から古代学へ/
 折口信夫と新仏教家藤無染/
 折口信夫藤無染同性愛説 批判/
 折口信夫の飛鳥万葉旅行/
 付論

第五部 折口古代学の生成
 折口信夫の「言語情調論」/
 折口信夫の「精霊」/
 聖水信仰の発見―ネフスキーの提起と折口信夫による展開/
 「琉球国王の出自」の出自

索引(語句事項索引・引用資料索引・研究者索引)

ご注文へTOPEへ