般若院英泉の思想と行動
―秋田「内館文庫」資料にみる近世修験の世界―

長谷部八朗(駒澤大学教授)
佐藤俊晃(曹洞宗総合研究センター客員研究員) 編著

2014年4月刊
B5判・414頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-861-5 C3021
14800円 (税別)
評者:時枝務(『山岳修験』55  pp69-71  2015.03)
北秋田市・綴子(つづれこ)神社の「内館(うちだて)文庫」所蔵資料をもとに、修験者・般若院 英泉(えいせん)(1714-82)の思想と行動を明らかにし、近世中期の修験道の実態を示す。
内館文庫とは、綴子神社宮司の武内家に伝来する書籍・文書・記録類(2600点)およびそれらを所蔵する施設をさしている。その名称のもととなった「内館塾」は、社伝によれば慶安年間に創設、享保15年に藩の公許を得たとされる。この時期に英泉の活動時期も重なる。
英泉は、13歳で得度を受けた修験者であるが、修験の枠におさまらず、神道・儒教・仏教を渉猟し、また地理的にも、秋田・山形、遠くは江戸・大坂・伊勢・九州にも足跡を残す「越境する宗教者」であった。
本書では、英泉の思想と行動を、内館文庫に残された資料から読み解き、秋田を中心とした近世修験の世界を描き、併せて文庫の分類目録を収録して、今後の研究の基盤を作る。
【主要目次】
緒 論 般若院英泉の思想と行動 長谷部八朗
第一部 論攷編  
第一章 英泉の伝記に関する基礎的考察 佐藤 俊晃
付 論 寛延四年の英泉の動向 佐藤 俊晃
第二章 英泉における七座山天神宮祭祀説の変化 佐藤 俊晃
第三章 「柱源神法」関係資料紹介
石川 力山
第四章 英泉の足跡と神道
長谷部八朗
付 録 般若院英泉発願紀年録 A・B両本対校表
 
第二部 内館文庫所蔵資料分類目録
 仏教/修験/神道/
 儒教・漢籍/国文学・語学/国史・地誌/
 天文・暦学/漢方・医学/農業/
 軍事/政治・法制/教育・教科書/
 芸能・武道/古文書(仏教/修験/神道/普請・経営/書簡)/
 随筆・日記/家記/目録
 内館文庫所蔵 英泉撰述・書写・購入書目録

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