倭政権の構造 王権篇

中田 興吉 著
(大阪学院大学教授/1948年生まれ)

2014年2月刊
A5判・188頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-838-7 C3021
2400円 (税別)
「周知のように、四世紀後半以降、倭国は、南下する高句麗に抵抗する百済を援助して朝鮮半島に出兵する。そしてこのことの一環として、五世紀には、いわゆる倭の五王が中国南朝の宋王朝に使者を派遣し、「王」として冊封される。この朝鮮半島への出兵、さらに宋王朝による冊封が倭国にいかなる影響を与えたかは大きな問題である。
 近年、私はこの問題に焦点を絞って取り組んできたが、その中の王権そのもののあり方に二つの焦点を置いてまとめたのが本書である。第一の焦点は、倭国の頂点に立つ存在=王のあり方であり、第二の焦点は、その王のあり方が倭の五王以降、いかに推移したかである。(中略)これらを通して、倭の五王政権とそれ以後の王権のあり方について かなり明らかにできたものと思っているが、本来であれば、王のあり方のみで倭王権そのものを語ることは不十分である。この問題については続編「支配構造編」を予定している。」(本書「緒言」より)
【主要目次】

第一章 大王と大后 ―その成立と性格―
      大王号の意味/
      大王号の成立時期/
      大王と王・ワケ/
      大后

 付章一 隅田八幡宮所蔵癸未年銘鏡の考察
      (銘文の解読/
       癸未年と隅田鏡の製作年代/
       銘文における癸未年の位置づけ/
       銘文の解釈と癸未年の比定)

 付章二 立后要請と王権
       (皇后・大后と立后要請記事/
       立后要請の目的/
       立后要請と政治情勢/
       大王の後継者と立后)

第二章 王の後継者候補 ―皇太子制成立以前―
      ミコとヒツギノミコ/
      長子重視と大兄/
      大兄の資質

第三章 清寧朝から武烈朝の存否
      清寧朝の存否/
      顕宗・仁賢朝の存否/
      武烈朝の存否

第四章 継体朝出現の背後
      継体の出身地/
      男大迹と倭の五王との関係/
      継体即位時の混乱の有無/
      継体政権と豪族との関係

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