中世荘園の基層

悪党研究会 編


2013年12月刊
A5判・250頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-831-8 C3021
2800円 (税別)
評者:似鳥雄一(『日本歴史』800  pp149-151  2015.01)評者:鎌倉佐保(『人民の歴史学』203  pp17-21  2015.03)評者:守田逸人(『史学雑誌』124-6  pp113-114  2015.06)
2012年5月に開催されたシンポの記録と、そこでの議論をふまえた論攷とで構成。
「本シンポジウムでは荘園を「制度」や「支配」といった観点からではなく、できるだけ「生活の場」として捉えてみようとする立場をとった。ここでの「生活の場」とは、荘園制といういわば「外皮」のなかで生きていた人々の生活空間そのものを指している。荘園に生きる人々は、隣接する荘園との土地や水利をめぐる緊張関係や、荘園内部における身分秩序の問題、さらには荘官層などのネットワークを通じた地域社会との関係などに身を置き、様々な問題を抱えながら、自らの生活空間を形成していたはずである。こうした生活レベルの「中身」の問題が、荘園制という「外皮」とどう切り結びながら中世社会を形ち作っていったのかという問題を明らかにするために、本シンポジウムは企画された。」(「はしがき」より)
【主要目次】 
 第T部 シンポジウム「中世荘園の基層」
中世における生業環境と民衆の地域社会
  ―東寺領播磨国矢野荘の「河成」と気候変動をめぐって―
田村 憲美
中世における山野の領有と絵図
  ―西大寺・秋篠寺の相論絵図をめぐって
高木 徳郎
鎌倉末期における荘官の悪党化
 ―山城国上桂荘における東寺の支配確立と悪党事件―
三藤 秀久
鎌倉後期の「海賊」と公文・沙汰人層 楠木  武
シンポジウム討論 司会:小林 一岳
 
 第U部 特 論
平安末期から鎌倉初期の銭貨政策 保立 道久
年貢散用状ノート
 ―東寺領播磨国矢野荘形成期を事例に
高橋 典幸
大河戸御厨をめぐる一騒動
 ―『吾妻鏡』建久五年六月三十日条の検討
山野龍太郎
鎌倉幕府追加法三二四条制定の背景
 ―災害の影響の視点から
築地 貴久
悪党研究史をめぐって ―研究史と史料 渡邊 浩史
悪党教念と「八坂目銭」 櫻井  彦
室町期荘園の基層
 ―備中国新見荘における三職層の動向をめぐって
徳永 裕之

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