痕跡と叙述
 空間史学叢書Study on spatial history 1

空間史学研究会 編


2013年10月刊
A5判・222頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-829-5 C3321
2800円 (税別)
「空間史学研究会」始動────────野村 俊一
 隣接領域分野の研究者たちと、「空間史学研究会」という学際的研究の場を立ち上げた。テーマは「空間の歴史」。 建築史学では、建築の形態や技法にくわえ、意匠や使われ方、背景となる社会や文化までも問う。仏堂を例に取ってみても、そこに奉られた仏像や堂内で行われる儀礼はもちろん、まわりを荘厳する絵画、全体を包括する仏教理念、仏堂を経営する檀越や僧侶たちの政治や思惑など、解くべき問題は多岐にわたる。ゆえに隣接領域分野と切磋琢磨する機会も、必然的に多くなる。(中略)
 モノ・言葉・絵画などさまざまな「痕跡」を頼りに、見えるものにとどまらず、いかに見えないものまでも「叙述」するか。このような予感と期待のもと、本叢書は新たな空間の地平を目指すべくして始動した、ありそうでなかった試みの一つのドキュメントである。
【主要目次】 
新たな学術分野の創出へ 佐藤 弘夫
「空間史学」への期待 長岡 龍作
<特集:痕跡と叙述>  
神・彼岸・コスモロジー
 −歴史学における「空間」の発見−
佐藤 弘夫
夢見と仏堂 −その礼堂の発生に関する試論− 藤井 恵介
行為と感応の場としての空間
 −表象の読み方を考える−
長岡 龍作
<論文>
江戸のつぶれ家−尾張屋版切絵図と四谷怪談− 大川  真
山水の生成とその諸空間 −中世禅院における境致と社友の考察を通して− 野村 俊一
仏像光背考 −〈ほとけ・像・人〉の場と空間− 海野 啓之
アルベルティの『建築論』における「スパティウム」(空間)の用法 飛ヶ谷潤一郎
『源氏物語』賀茂祭の物見空間と正妻
 −桟敷の座と紫の上造形−
岩原 真代
煉獄という空間 −15〜16世紀のダンテ受容にみるその組織化と視覚表象− 石澤 靖典
<フィールド・ノート>  
トルチェッロの聖母−都市の記憶、空間の記憶− 佐々木千佳

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