五浦の岡倉天心と日本美術院 五浦歴史叢書6 清水 恵美子 著 (茨城大学五浦美術文化研究所客員研究員/1962年生まれ) 2013年4月刊 B6判・188頁・並製本・カバー装 ISBN978-4-87294-796-0 C1321 1800円 (税別) |
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東京美術学校を開校し、明治期の美術界に重要な位置をしめる岡倉覚三(天心 1863-1913)の「五浦時代」を再評価する。 岡倉は、明治38年に米国から帰国すると茨城県五浦に居を移し、日本美術院を五浦に移転し、以後、大正2年に死去するまで、五浦とボストンを往復する生活を続けた。 本書では、(1)インド体験の影響、(2)地域(茨城県)との関係性、(3)五浦の持つ二面性、(4)ボストンの活動との連動、という視座のもと、「五浦時代」を、3つの時期(五浦発見から日本美術院移転準備まで、日本美術院移転から第1回文展まで、春草・大観帰京から岡倉死去まで)に区分し、従来、隠棲地というイメージで語られてきた「五浦時代」の意義を問い直す。 |
【主要目次】 |
第1章 生い立ちから渡印まで |
横浜での幼少時代/ 近代日本美術行政への参画/ 欧州美術視察旅行/ 新美術の創造と古美術保護/ 受戒と仏教復興/ 日本美術院の創設 |
第2章 転回点としてのインド |
渡印の動機と経緯/ ヴィヴェーカーナンダの思想との共鳴/ アドヴァイタ・アシュラムと仏跡巡礼/ ヴィヴェーカーナンダの死/ 岡倉とタゴール |
第3章 岡倉覚三の「五浦時代」 |
五浦時代:前 夜 インドからアメリカへ/ 五浦の発見 五浦時代:第1期 土地の購入/ 野口勝一の役割/ 六角堂の建築/ 拠点の確立 五浦時代:第2期 日本美術院の移転/ 仲秋観月園遊会/ 第一回文部省美術展覧会/ 五浦派の絵画展覧会 五浦時代:第3期 大観と春草の帰京/ 観山と武山の五浦滞在/ 五浦からボストンへ そしてインドへ/ その後の五浦 |
第4章 没後の表象と五浦 |
岡倉覚三から岡倉天心へ/ 戦後の顕彰 |