「民俗」の創出

市川 秀之 著
(滋賀県立大学教授/1961年生まれ)


2013年4月刊
 A5判・222頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-791-5 C3039
2800円 (税別)
評者:鈴木正崇(『日本民俗学』278  2014.05)
本書は、近世後期から明治にかけて創出された「民俗」を主題とし、その意味を主として歴的に問い直すことを課題としている。
一見、古くからの伝承と思われるものの中にも、比較的にしい時代に創出されたものがあるのではないか。そして、そのような創出にも、なにかしらの意味があるのではないか。
本書は、そのような問題意識のもとに、近畿地方をフィールドとして具体的な場面を記述。
【主要目次】
序 章 「民俗」の創出
第1章 「古代」的葬送儀礼の創出
     ―近世池田の墓宿習俗を題材として―
 古代史と民俗学の架け橋としてのモガリ研究/
 稲束家の嘉永期以降の葬式/
 稲束家における墓宿習俗の成立過程/
 嘉包と古代憧憬
第2章 先祖代々之墓の成立
 先祖代々之墓をめぐる研究史/
 大阪狭山市における先祖代々之墓/
 先祖代々之墓建立状況の地域的傾向/
 先祖代々之墓の発生
第3章 河内の餅なし正月
 大阪狭山市半田吉川家の事例から/
 民俗事例を探す/
 史料を探す/
 餅なし正月についての言説/
 河内の餅なし正月の性格
 付 河内長野市滝畑の餅なし正月/
    鴻池家の餅なし正月
第4章 歴史伝承の形成と知識人
 南河内郡平石の概要/
 歴史伝承と場所/
 天磐船伝承/
 平岩城伝承/
 宮座の儀礼
第5章 神武天皇祭の民俗行事化 ―奈良県下のレンゾを中心に―
 近代の民俗としての神武レンゾ/
 神武天皇祭の創始/
 レンゾの性格/
 神武レンゾの分布/
 神武天皇祭の広がりと神武レンゾ/
 戦後の変化
第6章 明治天皇巡幸と神社の創出
 名越のオコナイと後鳥羽神社/
 後鳥羽神社創建に関する言説/
 明治天皇の巡幸/
 後鳥羽神社の創建/
 その後の後鳥羽神社/
 後鳥羽神社創建の意味
終 章 「民俗」の創出の歴史的位置
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