戦国期東武蔵の戦乱と信仰
戦国史研究叢書10


加増 啓二 著
(足立区地域文化課学芸員/1961年生まれ)

2013年9月刊
A5判・370頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-790-8 C3321
8200円 (税別)
評者:滝川恒明(『日本歴史』799  pp100-103  2014.12)評者:落合義明(『史学雑誌』123-12  pp90-98  2014.12)
本書は武蔵国足立郡淵江郷・舎人郷を舞台として、戦乱や地域支配を経糸に、信仰や伝承を緯糸とし、中世後期東武蔵地域史の解明に挑む。15世紀中葉という時期および享徳の乱が、小地域の歴史的な画期を形づくることに言及した。中世初期以来の伝統的豪族千葉氏本宗家の西遷、あるいは東武蔵固有の庚申待板碑の出現が、正に当該期であることに象徴されるように、地域の新しい政治状況の出現と信仰が交錯する様相に論及。
【主要目次】

序 章

第一章 地域の中世後期への胎動
    (戦国期へ向かう東武蔵/
    享徳の乱前後の小地域/
    岩付太田氏と武蔵国足立郡淵江郷)

第二章 武蔵千葉氏と淵江郷
    (千葉氏本宗家西遷と武蔵千葉氏成立/
    足立之内嶋根之村と千葉殿/
    武蔵千葉氏本拠の発見)

第三章 舎人郷と舎人氏
    (戦国期武蔵国足立郡舎人郷と舎人氏/
    戦国武士舎人孫四郎の武勇譚/
    戦国期東武蔵の兵乱と祈祷)

第四章 東武蔵と後北条氏
    (武蔵国侵攻過程における後北条氏の知行充行/
    後北条氏の葛西再攻略と江戸太田氏の動向/
    戦国期江戸および周辺地域の在地領主と寄子・同心の軍団編成)

第五章 東武蔵周辺地域の小武士団
    (武蔵沼田氏に関する覚書/
    武蔵小宮山氏の動向/
    戦国期宮城氏と六阿弥陀伝説/
    葛西地域周辺と東氏に関する覚書)

第六章 中世寺院の過去帳と東武蔵周辺地域
    (『本土寺過去帳』と地域地名/
    中世東京低地の村と信仰/
    『本土寺過去帳』の後北条氏関連記事)

第七章 地域の信仰と造塔
    (相似する夜念仏供養板碑/
    中近世転換期の地域の庚申信仰)

第八章 地域の中世から近世へ
    (拭い去られる中世/
    近世地誌が照らす中世地域史の残像)

終 章

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