地域開発と文化資源
歴博フォーラム 民俗展示の新構築

青木隆浩・国立歴史民俗博物館編


2013年2月刊
A5判・184頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-789-2 C3339
2200円 (税別)
評者:内田忠賢(『日本民俗学』285  pp90  2016.02)
国立歴史民俗博物館は、本年(2013)3月に全面リニューアルする第4(民俗)展示室の開室にむけて準備を重ねてきた。本書はその、「「民俗」へのまなざし」というゾーンにかかわるもので、現代社会における民俗というのはどのようなものか、どういった形で展開しているのかを問うものである。
この歴博フォーラムは、大規模で近代的な開発の問題を、地域に住む人びとの感覚や生活文化からとらえなおそうとしたもので、ここでは、開発が、それまでの地域や生活の文脈を断ち切るのではなく、あらためてそれらを見つめ直し、日常を対象化する契機となることが示されている。また逆に、伝統的で古来の様式が守られているかにみえる文化が、現代社会のなかでいつのまにか再編され、新たな資源となっていくことも示している。
【主要目次】 
本フォーラムと国立歴史民俗博物館における民俗展示の新構築 小池 淳一
第80回歴博フォーラム「地域開発と文化資源」の開催趣旨 青木 隆浩
 T 地域開発と自然  
世界遺産が地域社会にもたらしたもの 柴崎 茂光
アイヌ観光と博物館
 ―文化資源と民族共生モデルを考える
野本 正博
コメント 内田 順子
 
 U 地域開発と宗教・芸能
近代に生まれた「民謡の里」
 ―麦屋節とこきりこ唄を中心に
川村 清志
四国遍路の文化的価値 ―その歴史と現在 浅川 泰宏
コメント 山田 慎也
 
 V 地域開発と近代化  
大正・昭和戦前期の炭鉱労働世界 長廣 利崇
近代産業遺産と文化遺産制度
 ―北九州市の製鉄施設を事例として
山本 理佳
コメント 重信 幸彦
 
総合討論 司会:青木 隆浩

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