シシ踊り −鎮魂供養の民俗−

菊地 和博 著
(東北文教大学短期大学部教授/1949年生まれ)

2012年9月刊
A5判・376頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-764-9 C3039
8400円 (税別)
品切れ
評者:中村茂子氏(『民俗芸能研究』54  2013.3)評者:大本敬久(『日本民俗学』278  2014.05)
 シシ踊りとは、鹿(カノシシ)や猪(イノシシ)などの野生動物をモデルとするカシラを身につけて踊る民俗芸能であり、例外をのぞき東日本にしか分布していない。さらに、東日本のなかでも、関東地方では3頭のシシ踊りが多数をしめるが、東北地方では、多頭のシシ踊りが非常に多い。踊りの機能・目的も関東地方と東北地方では、かなり異なっている。
 この庶民の芸能には発生の時期や伝播経緯など未解明の部分が少なくない。とりわけ東北地方のシシ踊りについてはこれまで総体的に論じられたことはなかった。したがって、本書は東北地方のシシ踊りについて、まず歴史文化的視点を含めた立場から全体像を明らかにしようとしてみたものである。さらにその作業を通じて、東北地方のシシ踊りのみならず東日本のシシ踊りの成り立ちや伝播などについて、新しい見解と課題を提示した。
 本書は、シシ踊りという庶民の芸能が、東北地方において数百年の歴史をかいくぐって亡き人々を弔い、鎮魂する役割を担い続けてきたことに、あえて焦点を当てる。
【主要目次】

序 章

第1章 シシ踊り研究史の概括

第2章 東北地方のシシ踊り
     青森県/秋田県/岩手県/宮城県/山形県/福島県

第3章 関東地方と新潟県のシシ踊り

第4章 東北地方から伝播した愛媛県のシシ踊り

第5章 シシ踊りの鎮魂供養機能

第6章 シシ踊りの発生土壌と成り立ち

第7章 シシ踊りの特質・野獣性

第8章 シシ踊りの類型化と文化圏

第9章 従来説の再検討と課題

終 章

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