大峯葛城嶺入峯日記集
岩田書院史料叢刊E

首藤 善樹 編
(聖護院史料研究所長/1949年生まれ)

2012年7月刊
A5判・288頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-760-1 C3321
7900円 (税別)
評者:小田匡保氏(『山岳修験』52  2013.10)
大峯と葛城嶺は修験道の根本的な修行地である。本書は、その両峯における本山修験の入峯日記を集録したもので、江戸期を中心に、天正14年(1586)頃から明治におよんでいる。
筆者はさまざまで、聖護院門主自身のものもあれば、門主に随行した修験奉行のもの、その同じとき先達円成寺の組下として供奉した同行山伏のもの、院家先達のもの、また青年修験者のものもあれば、講の入峯に参加した一般青年のものもある。
それぞれ時代と立場は違うが、いずれも得難い体験を書きとどめようとし、あるいは後人のため詳細に記録しようとする姿勢が貫かれている。入峯修行は通常の旅行や登山と違い、その日記は書き手に強い思いや明確な目的があって執筆したものである。初入峯や入峯度数が少ない人の日記が多いのも、涌きあがる意気込みの表れであろう。携行に便利な横半帳の小本であることも、入峯日記のよって然るべき特徴である。
本書は研究者対象の史料集ではあるが、入峯日記ということで、広く一般の方々にも興味をもっていただけるよう、句読点をできるだけ多くし、返り点を打ち、随所に注を付した。
(「あとがき」より)
【収録史料】

1 葛城手日記 宝寿坊良玉撰 天正14年頃
2 院家入峯勘例(澄真法眼日記抄/誉淳入峯日記抄)
3 峯 中 記 積善院宥雅撰 慶安4年
4 大峯峯中記 積善院宥雅撰 江戸前期
5 道祐親王入峯記行 貞享4年
6 峯中日記 元禄5年
7 癸巳入峯記行 道承親王撰 正徳3年
8 峯中秘所並靡次第 正徳3年
9 増賞親王御入峯修験方日録 畠中典膳正冬・守隆撰 宝暦7年
10 増賞親王入峯供奉記 智泉院撰 宝暦7年
11 大峯峯中記 住心院賞a撰 安永2年〜9年頃
12 両峯修行日記 天保10年
13 現時葛嶺修行記 大善院実全撰 弘化4年
14 臨時御祈祷修行日記 住心院雄真撰 嘉永7年
15 大峯修行日記 住心院雄真撰 文久3年
16 葛城嶺修行巡拝私記 今井貞祝撰 明治34年
17 入 峯 認 岩本光徹撰 明治37年
18 峯中日記 岩本光徹撰 明治40年
19 初度奥駈 宮城信雅撰 明治41年
20 大峯登山日記 児島栄太郎撰 明治45年
付 本山先達入峯之記 江戸時代後期

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