柳田国男を語る

石井 正己 著
(東京学芸大学教授/1958年生まれ)

2012年8月刊
四六判・276頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-759-5 C3039
2800円 (税別)
「今年(2012)の8月8日で、昭和37年(1962)に柳田国男が亡くなって50年になります。20世紀後半には、柳田が研究対象にした民俗は社会から急速に消えました。緊急の民俗調査がさまざまに行われた結果、各地で記録された資料は膨大な量に及びました。一方で、民俗学は大学の中へ入り込み、アカデミックな専門化が進みました。しかし、急速な社会変化に適応できず、学問としての活力を失ってしまったように感じます。資料は図書館や研究室に埋没し、研究者個人の関心の外に出ていこうとしないと言えるかもしれません。
(中略) そうした中で、私が20年ほど行ってきたのは、『柳田国男全集』に集約されるようなテクストの見直しと、それに伴う講演でした。数えてみたことはありませんが、おびただしい数の講演を引き受けてきたはずです。大学では民俗学を教える講座にいませんので、そうした話題を学部の授業で語ることはありません。そのぶん、社会での講演が増えたのかもしれません。そして、その折々に、柳田国男を社会とつなぐ可能性を模索してきたように思います。これまでも講演をまとめた本は 何冊かありますが、今回、『柳田国男を語る』という書名を付けたのは、そうした方法を先鋭化してみたいと考えたからに他なりません。」(「今、なぜ柳田国男を語るのか」より)
【主要目次】

今、なぜ柳田国男を語るのか

災害と経世済民の思想

故郷と民俗学の成立

食文化研究と「一国民俗学」

日本のグリムの昔話発見

口承文芸とは何か

金田一京助と柳田国男

『遠野物語』と吉本隆明

柳田国男と後藤総一郎

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