写真経験の社会史
−写真史料研究の出発−

緒川直人(東洋大学社会学部講師)
後藤 真(花園大学文学部講師) 編

2012年5月刊
A5判・304頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-749-6 C3072
5900円 (税別)
評者:葦名ふみ氏(『日本歴史』782  2013.7)評者:吉田成氏(『図書新聞』2013.4.13)評者:大門正克氏(『週刊読書人』2012.9.7)評者:菊池哲彦(『歴史評論』764  2013.12)評者:馬場伸彦(『映像学』91  2013.11)評者:有山輝雄(『社会経済史学』79-4  2014.02)評者:葦名ふみ(『史学雑誌』123-4  2014.04)
「「写真経験の社会史」は、伝統的な日本写真史学の史観・認識枠組・史料・立論などを問いなおし、史学・社会学・民俗学・地理学などの人文学と、写真史料研究の接続回路を探求する新たなパラダイムである。換言すれば「写真経験の社会史」は、写真史料と多様な人文学とを媒介し、新たな歴史認識や社会認識の地層を探究するための「メディア」の役割を任ずるものである。」(緒川「序説」より)
「写真経験」とは、@写真に媒介された様々な社会関係・社会経験を 史的に考証する方法論・実証研究の総称であり、A生活・日常イメージの史料化、Bモノとしての写真の社会的存在形態、C写真史料論と社会史的叙述の相互性、などの視点を複合的にそなえるものである。それは、史学が写真史料研究に参画するガイドラインであり、日本写真史学の射程からこぼれおちてしまう、近現代日本の多様な写真経験を対象化する理路と実証を獲得する構想である。
写真史・歴史学・メディア史・情報歴史学・社会学・民俗学などの執筆者による成果。
【主要目次】
序説:「写真経験の社会史」考
   ―史学と写真史料研究―
緒川 直人
T 学史とアーカイブ ―共有すべき資源―  
  写真表現と写真史の1970年代 戸田 昌子
  写真「史料」のためのデジタルアーカイブ 後藤  真
U 方法としての写真/アルバム
   ―方法意識と歴史叙述―
 
  方法としての家族アルバム
 ―<近代>をめぐって―
有馬  学
  柳田国男と写真
 ―「自然主義」と「重ね取り写真」の方法意識―
佐藤 健二
V 写真経験と社会関係 ―時代状況からの想像力―  
  政治写真の誕生
 ―自由民権期・写真舗・スターシステム―
緒川 直人
  農村記録写真家・熊谷元一の1950年代
 ―記録・サークル・民俗学的知―
矢野 敬一
成果と課題:「写真経験の社会史」六景
   ―写真史叙述の拡幅戦略―
添野  勉

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