近世百姓の印と村社会
近世史研究叢書29

千葉真由美著
(小平市史編さん調査専門委員/1971年生まれ)

2012年5月刊
A5判・362頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-741-0 C3321
7900円 (税別)
評者:宍戸知氏(『日本歴史』786  2013.11)
一般の民衆に至るまでが印を多用する、現代の「はんこ社会」の萌芽は近世に求められよう。近世では、村の百姓に至るまでが個々に印を所持し、使用するようになった。
本書は、近世の百姓が使用する印および捺印行為の諸相を明らかにし、ここから日本近世の村社会、さらには日本近世社会の特質を導き出すことを目的とする。
印は文書における唯一の意思表示であり、意思表明として使用される印は村社会に様々な影響をもたらした、ということを念頭に置き、近世前期から幕末期までの南関東を事例として、「文書社会」といわれるその具体相を明らかにする。
【主要目次】
序 章
第T部 近世前期の惣百姓印
第1章 近世前期関東における惣百姓印
第2章 近世の惣百姓印
 ―南関東地域の事例収集を中心として―
第U部 文書作成と百姓の印
第3章 近世百姓印の捺印と使用状況
 ―相模国津久井県牧野村を事例として―
第4章 近世百姓印の機能と文書作成
 ―相模国津久井県牧野村を事例として―
第5章 名主日記にみる村の文書と捺印(1)
 ―相模国高座郡座間宿村庄右衛門の元文四年日記から―
第6章 名主日記にみる村の文書と捺印(2)
 ―武蔵国多摩郡乞田村茂兵衛の明和八年日記から―
第V部 文書作成と百姓の印
第7章 近世中後期村落における印の相続と女性当主
 ―武蔵国多摩郡大沼田新田を事例として―
第8章 近世百姓印と村の公文書
第9章 近世後期村落における出入と捺印
 ―武蔵国多摩郡大沼田新田を事例として―
終章 近世の村社会における印と捺印

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