遠江 天野氏・奥山氏
論集 戦国大名と国衆G

鈴木 将典 編
(駒澤大学非常勤講師/1976年生まれ)

2012年3月刊
A5判・242頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-735-9 C3321
4000円 (税別)
遠江北部の山香荘(浜松市天竜区一帯)域で勢力を拡大し、戦国期に国衆として盤踞した天野氏と奥山氏。本書には、天野氏に関する論考3編、奥山氏に関する論考2編、さらに両氏に関する基礎的研究として『佐久間町史』から新行紀一氏執筆分を再録。
巻頭には、編者による現在の研究の到達点をまとめた総論「戦国期の北遠地域と遠江天野氏・奥山氏」を付し、今後の研究の進展をはかる。
天野氏は、安芸・能登の天野氏と同じく伊豆国天野郷(伊豆の国市)を名字の地とし、山香荘南域の犬居(浜松市天竜区春野町)を本拠とした。一方、奥山氏は能登天野氏の所領を押領しながら、山香荘北域の奥山郷(同区佐久間町・水窪町)に興った一族である。両氏とも、戦国期に駿河から遠江へ進出した今川氏に服属し、その下で勢力を維持したが、永禄11年(1568)末に甲斐の武田氏と三河の徳川氏が駿河・遠江に侵攻し、翌年に今川氏が没落する中で、新たな対応を迫られた。天野氏は初め徳川氏、後に武田氏に服属したが、天正3年(1575)7月に徳川方の攻撃によって本拠地の犬居を追われた。奥山氏も今川・武田・徳川氏の間で一族が分裂し、最終的には徳川氏の北遠支配の中で姿を消すこととなる。
【主要目次】
総論 戦国期の北遠地域と遠江天野氏・奥山氏───鈴木 将典
秋本 太二 「犬居天野氏について」(『地方史静岡』創刊号、1971年)
秋本 太二 「中尾生城について」(『地方史静岡』5号、1975年)
新行 紀一 「戦国動乱と在地領主」(『佐久間町史』上巻第4章、1972年)
  遠江の動乱/戦国大名と在地領主
  在地領主と農民/動乱期の北遠
海野 一徳 「北遠天野氏の系譜と今川氏」
(静岡県地域史研究会編『戦国期静岡の研究』清文堂、2001年)
加藤  哲 「遠江の国人領主奥山氏について」(『歴史手帖』5巻10号、1977年)
坪井 俊三 「戦国期の奥山氏―奥山氏の系譜を中心に―」
(『高根城V』静岡県水窪町教育委員会、1996年)

ご注文へTOPEへ