牛痘種痘法の普及
 −ヨーロッパからアジア・日本へ−

田崎 哲郎 著
(愛知大学名誉教授/1934年生まれ)

2012年2月刊
A5判・132頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-729-8 C3021
1900円 (税別) 品切れ
青木歳幸氏(『日本歴史』780  2013.5)
天然痘患者の膿を接種して免疫を得させる人痘法に対して、ジェンナーの開発した牛の天然痘である牛痘の膿を用いた牛痘法は、安全であったため、世界に広まった。
本書は、ヨーロッパで開発された牛痘法が、中国を経て、東アジア・日本へと普及する過程を追究する。
併せて日本国内の伝播の過程も考察し、そこに在村蘭学の広範な拡がりがあったことを明らかにする。
なお、中国で刊行されたとする『英吉利国新出種痘奇書』は、現在まで中国国内では発見されていないが、それをロンドンの大英図書館に赴いて調査し、本書に影印収録する。
『在村の蘭学』『地方知識人の形成』などの著作を通じ、門人帳の分析などによって三河を中心とした幕末期の文化状況を明らかにしてきた著者が、視野を東アジアに広げ、牛痘種痘法の普及が民衆に与えた影響を考察する。
【主要目次】

1 アジアにおける種痘
2 『英吉利国新出種痘奇書』について
3 葛野経良訳『ポンぺ種痘書』について
4 日中間の牛痘種痘法普及の差について
5 山間部への牛痘法伝播の一例
   −三河国設楽郡下津具村山崎譲平の場合−
6 牛痘種痘の拡がり
7 江戸時代人口論に対する一疑問
8 愛知の史料を欧州に求めて
   −シーボルト門人平井海蔵・伊藤圭介に関連して−
9 日本の江戸時代の地方の医者について

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