河童の文化誌 平成編 和田 寛 著 (河童文庫主宰/1935年生まれ) 2012年1月刊 A5判・630頁・上製本・カバー装 ISBN978-4-87294-725-0 C3091 12800円 (税別) |
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前著『河童の文化誌:明治・大正・昭和編』(2010.2 小社刊)に続き、平成20年までの記録。 「平成の河童ブームも平成十年代に入ると、様変わりしてきた。「河童による地域おこし」によって底辺の広まった河童族が、それまでとは明らかに違う形の河童を考え始めた。どこが違うかというと、まず河童の形状が変わった。昭和の二十年代の終わり頃、清水崑によってそれ以前の人たちが想像だにしなかった河童の姿が描かれた。あの愛くるしくて、ちょっぴりセクシーな「女かっぱ」の登場で、これが昭和の第二次河童ブームの幕開きとなった。これを河童の第一次変貌と考えるなら、今次の変容は河童の第二次変貌ということになろう。どこがどう変わったかは、本文中で追い追い述べていくことにする。 それに、平成の河童は人間に近い考え方や行動をするようになった。昭和の初めに芥川龍之介が小説「河童」の中で人間の世界とは異なる河童の社会を描き、読者をアッといわせた。これが昭和の第一次河童ブームの始まりである。芥川は「河童」の中で、人間が見た河童というものを、また逆に河童から見た人間社会を語っている。それと同じようなことを、平成の芸術家たちが行っているのである。いわゆる、「ニュー河童」の登場である。」(本書「はじめに」より) |
【主要目次】 |
第1部 河童年代記 |