室町期の朝廷公事と公武関係
中世史研究叢書20

久水 俊和 著
(明治大学兼任講師/1973年生まれ)

2011年9月刊
A5判・386頁・上製本・函入
ISBN978-4-87294-705-2 C3321
8400円 (税別)
水野智之氏(『史学雑誌』121-12  2012.12)評者:遠藤珠紀(『古文書研究』77  2014.06)
本書は、中世後期における朝廷公事(主に朝儀・祭祀)の運営構造を分析し、その構造における公家と武家の役割や権限を明らかにしようとするものである。
第1部「公事経営」では主に経済面を考察する。公事用途徴収構造における賦課・徴収・免除といった「治天の王権」に関わる諸権限の再整理と公家と武家の役割を明らかにし、室町期国家財政における公武の位置づけを試みた。
第2部「公事運営」では主に政治面を考察する。朝廷儀礼における足利将軍家が、公家として機能したのか、武家として機能したのかの分析をおこない、「室町殿」と「公家足利家」というそれぞれの立場で形成した儀礼故実が、どのように継承・断絶されていくかに注目し、この二つの立場と公家との関係にも言及した。
【主要目次】
序 章 中世後期公武関係の研究史と問題の所在
第1部 公事経営における公家と武家
 第1章 公事用途収支構造研究の再整理と課題
 第2章 大奉幣米徴収構造と白川伯家
 第3章 即位礼用途の支出構造
 第4章 「室町期型」支出構造の帰納的考察
  付論 恒例公事の支出構造の概要
第2部 公事運営における公家と武家
 第1章 皇位継承儀礼からみる室町殿
 第2章 朝廷公事における参仕催促と所役任命
 第3章 改元をめぐる公家と武家
 第4章 改元と仏事からみる皇統意識
 第5章 天皇家の葬送儀礼からみる室町殿
 第6章 「凶事記」の作成とその意義−東坊城和長の『明応凶事記』−
終 章 中世後期の朝廷儀礼における公家と武家

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