本書は、中世後期における朝廷公事(主に朝儀・祭祀)の運営構造を分析し、その構造における公家と武家の役割や権限を明らかにしようとするものである。
第1部「公事経営」では主に経済面を考察する。公事用途徴収構造における賦課・徴収・免除といった「治天の王権」に関わる諸権限の再整理と公家と武家の役割を明らかにし、室町期国家財政における公武の位置づけを試みた。
第2部「公事運営」では主に政治面を考察する。朝廷儀礼における足利将軍家が、公家として機能したのか、武家として機能したのかの分析をおこない、「室町殿」と「公家足利家」というそれぞれの立場で形成した儀礼故実が、どのように継承・断絶されていくかに注目し、この二つの立場と公家との関係にも言及した。 |