本書は2006年度から4年間、滋賀県に拠点を置く滋賀県県立大学・滋賀県立琵琶湖博物館・滋賀大学3機関の環境史に関心を持つ研究者が、科学研究費補助金を得て、共同で進めた「琵琶湖の歴史的環境と人間の関わりに関する総合的研究」の成果をまとめたものである。
文献史学・考古学・地理学・民俗学などの研究者が、琵琶湖というフィールドを対象に、そこで展開された人と自然の関係を考察し、新しい環境史研究の構築をめざした。
共同研究のなかでは文献史料や地籍図などの調査・収集も進めたが、最も力点を置いたのは、琵琶湖集水域の古代・中世集落遺跡を、刊行された発掘調査報告書から拾い出し、それを集成する作業であり、その成果が添付CDの資料である。なお湖東地域については、整理内容を旧市町単位に文章・グラフにまとめた。 |
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【主要目次】 |
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序章 |
琵琶湖の歴史的環境と人間 |
水野 章二 |
第1章 |
遺跡の立地環境からみた琵琶湖周辺の環境史 |
宮本 真二 |
第2章 |
近江の古代・中世集落遺跡−栗太郡の分析を中心に− |
志賀 崇
草間正彦 |
コラム |
湖東地域の古代・中世集落遺跡 |
水野 章二 |
第3章 |
近江国河上荘の湖岸と後山 |
水野 章二 |
第4章 |
中世前期の堅田漁撈
−『賀茂社諸国神戸記』所収堅田史料の紹介− |
橋本 道範 |
第5章 |
安土城築城期における大中の湖の湖沼環境変化 |
古関 大樹 |
第6章 |
近世の琵琶湖岸村落と幕藩領主
−高島郡針江村の水辺の土地支配−
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東 幸代 |
コラム |
中世奥嶋の環境と土地利用 |
杉浦 周子 |
第7章 |
琵琶湖岸における逆水灌漑
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市川 秀之 |
第8章 |
琵琶湖岸村落の「文化的景観」の全体構造
−滋賀県高島市針江地区の「里湖」と「里川」− |
佐野 静代 |
コラム |
琵琶湖岸の生業と景観
−「近江八幡の水郷」の現状と課題−
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塚本 礼仁 |
付録CD |
近江の古代・中世集落遺跡集成 |
志賀 崇
草間正彦 |
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湖東地域の古代・中世集落遺跡 |
国分 政子 |
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