「本書は、新潟県妙高市の妙高山を対象とした考古学的な研究で、小島正巳さんの初めての研究書である。…本書は、大きく三つのテーマから構成されている。
一つ目は考古学史で、第1章が充てられている。妙高市を中心とした地域の江戸時代から現代までの考古学の歩みが、実に丹念な事実の掘り起こしにもとづいて叙述されている。
二つ目は、「山岳宗教の考古学」で、第2章から第6章までが該当する。関山神社経塚、妙高山頂遺跡などの山岳宗教遺跡で、分布調査によって得られた考古資料の綿密な検討によって、妙高山における山岳宗教の歴史を描き出している。
三つ目は、「山地利用の考古学」で、第7章から第9章までが該当する。旧石器時代・縄文時代の遺跡、温泉、硫黄鉱山などの実態が報告され、妙高山における土地利用・資源活用の歴史の一端を知ることができる。
「山岳宗教の考古学」と「山地利用の考古学」を統一して「山の考古学」を構想し、それをフィールドワークにおいて実践したのは、本書が初めての試みである。」(解説より) |