本書は、著者が生前、刊行を準備していたもので、栃木県・長野県の事例をもとに、被差別部落の生活と文化を調査し、「民俗誌」を記述する試み。
早くに柳田國男は「所謂特殊部落ノ種類」を発表しているが(1913年)、民俗学界では被差別部落の民俗についての調査研究は不充分であった。そのご1970年代の「ハレ・ケ・ケガレ」論争の中で部落の民俗にも目が向けられるようになった。そして、2007年には日本民俗学会の機関誌『日本民俗学』252号で「差別と民俗」の特集が組まれるようになった。
本書第1章は、そこに執筆された論考であり、第2章・第3章は同和地区文化遺産調査に加わった報告書の成果で、第4章は講演録である。
従来の民俗学的立場からの視点のほかに、文化遺産として捉える視点から、民俗誌見る。 |
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【主要目次】 |
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第1章 |
被差別部落の民俗と民俗調査 |
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部落の社会伝承/生産活動の民俗/衣食住の民俗/氏神と檀那寺/民俗調査の意義 |
第2章 |
長野県被差別部落小諸市Aの生活と文化 |
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小諸市Aの民俗調査を終えて/産育/子供から青年へ/婚姻 |
第3章 |
栃木県被差別部落大平町Aの民俗誌 |
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生活環境と歴史伝承(生活環境/歴史伝承)
ムラの自治と家族親族(ムラの生活/マケとイエ)
人の一生(産育/婚姻)
経済活動(農業/諸職/衣服/食事/すまい)
信仰と葬送儀礼(ムラとイエの神仏/葬送と先祖祭祀)
稲作・麦作の耕作過程と労働
年中行事(概要/正月の行事/春から夏の行事/盆の行事/秋から冬の行事) |
第4章 |
栃木県における被差別部落の生活と文化 |
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栃木県における被差別部落の立地条件と歴史/被差別部落の解放運動 |
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