本書は、2009年11月に開催された戦国史シンポジウム「下野の地域権力−宇都宮・小山・那須氏は「戦国大名」か」の報告集である。
「下野には、上杉氏や北条氏に匹敵するような大権力は存在しなかったが、宇都宮・小山・那須氏などのような、中規模の領主たちがひしめいている状況であったから、この下野の領主たちを追究することによって、戦国時代をどのようにとらえるか、という大きな問題の一端を解き明かすことができるかもしれない。」(松本一夫「開催の趣旨」より)
「今回のシンポジウムは、市村高男・荒川善夫・江田郁夫・黒田基樹・齋藤慎一氏といった中世東国史研究の最前線の研究者を報告者にして行われた興味深いものであった。各氏とも、単に下野国内史に留まらず、東国史ないしは日本列島の戦国史をも視野に入れて論じている点で、特筆に価すると思う。」(峰岸純夫「シンポジウムに参加して」より)
当日の白熱した討論の記録のほか、下野の戦国時代の概要、用語解説、勢力関係図、関係年表を付して、理解が深められるようにした。 |