本書は、2009年11月におこなわれた日本民俗学会談話会でのシンポジウム「墓制・墓標研究の再構築」の記録をまとめたもので、当日の発表者のほか、フロアーから発言した土居氏も含めて、新たに原稿化した。
墓をめぐる研究は、研究分野を超えて共通の枠組みを設定すべき段階に入ったのではないか。このシンポジウムは、墓制研究の多様な側面を整理し、墓標概念などの再検討を通して、学際的な墓制・墓標研究の枠組みの再構築を目指したものである。
発表者は、いずれも地道にフィールド調査にこだわってきた研究者で、歴史・考古・民俗学の現場からの視点で、新たな展望を見据える。 |
【主要目次】 |
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墓制・墓標研究の再構築に向けて
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西海 賢二 |
不可知の墓制―葬・墓・祭の発見
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水谷 類 |
両墓制研究の陥穽/
ラントウと廟墓/
ハカをめぐる三つの「所」 |
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モノと精神史のあいだ
―石塔史料論の自立をめざして― |
渡部 圭一 |
石塔の焦点化/
“見せる”石塔の出現
―石塔の主観的コンテクスト―/
石塔のアクチュアリティ/
むすびにかえて―複雑化の近世― |
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近世墓標研究の成果と総合的な墓制研究への期待 |
朽木 量 |
近世墓標研究の画期・争点・問題点/
従来の墓制研究の問題点/
アメリカの墓標研究/
松前藩の墓標と墓地空間の成立/
新しい墓制研究に向けて |
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「墓ばかり調べている人」たちのネットワーク
―史蹟名勝天然紀年物保存協会における『掃苔』同人の邂逅を中心に― |
土居 浩 |
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