諏訪明神
 −カミ信仰の原像−

寺田鎮子・鷲尾徹太 著


2010年3月刊
A5判・246頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-608-6 C1021
2400円(税別)
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諏訪社は、大和王権の「記紀神話体制」や仏教に対抗して、縄文以来の伝統と汎アジア的な広がりを持つ「カミ信仰」を展開してきた――。
「諏訪小王国」と社壇成立の謎、「生き神・大祝」の意味、軍神・狩猟神・農耕神・風神といった多様な貌の形成過程など、諏訪信仰の歴史を全体的に捉え直し、その奥にある「ミシャグジ信仰」=自然霊・生殖力を核とする宗教実践を浮き彫りにする。諏訪の生き神といわれた「大祝」の「お世話係」を代々努めた家系である故・原田哲郎氏(「諏訪神事研究会」を主宰)の導きによって、地元の研究者とは違った視点で、諏訪信仰を捉え直す。
【主要目次】

序 章 諏訪のプロフィール
  諏訪の地理的特殊性/
  上社と下社/
  諏訪信仰の広がり/
  諏訪研究の基本図書

第1章 「天下の奇祭」御柱祭
  山のいのちをいただく―伐採/
  荒ぶるエネルギー―山出し/
  華やかな祭り―里曳き/
  御柱を立てる/
  「見せる祭り」「魅せられる祭り」/
  御柱は何表わすか/
  歴史的に見た御柱祭/
  遷宮の謎)

第2章 諏訪の多様な顔―歴史を概観する
  縄文の石棒と土偶/
  「五世紀王国」の誕生―古墳時代/
  国造・金刺氏/
  正史への登場―天武と持統時代/
  「風の祝」はいたのか/
  諏訪の神はタケミナカタか/
  もう一つの「外貌」―軍神・諏訪/
  大祝と神長/
  狩猟の神/
  稲作の神か/
  諏訪大社の黄金時代/
  諏訪信仰の拡散/
  仏教の影響/
  暗黒の15世紀/
  その後の諏訪

第3章 諏訪信仰の中核へ
  諏訪社の始源を探って/
  「千鹿頭」と「鉄鐸」/
  守矢氏の謎/
  神氏の謎/
  諏訪社壇の成立をめぐって/
  御室神事/
  御頭祭と廻り湛え/
  ミシャグジ神とソソウ神/
  「籠もり」と「幼童」の意味―宗教人類学的に/
  ミシャグジの帝国―神道の神霊学/
  読み替え(変形創造)の運動)

第4章 聖なる神の野から
  神野にて/
  原山の祭り―上社御射山祭/
  鹿と楓―どぶろく祭り/
  神之原村/
  汎アジア的宗教文化―ネパールの宗教儀礼/
  聖なる地 諏訪

付 録
  上社年中神事リスト/
  『神氏系図』後書部分/
  参考文献

【著者】
  寺田(元 日本ネパール協会理事/1940年生)
  鷲尾(フリー編集者/1955年生)

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