河童の文化誌 明治・大正・昭和 編 和田 寛 著 (私設図書館「河童文庫」主宰/1935年生まれ) 2010年2月刊 A5判・510頁・カラー口絵8頁・上製本・カバー装 ISBN978-4-87294-605-5 C3091 9500円 |
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「こう見てくると、室町・江戸期においては、飢饉や天災、失政や戦乱などで世上が乱れた時節に、河童が出現し、庶民の口の端に上ることが多かったのは確かなようであるが、明治以降はどうであろうか。江戸時代までは、河童は飢饉やハレー彗星と並ぶ「恐るべき」存在であったが、明治維新後は、その実在を信じない人が多くなり、昭和に入ってからは、それまでの河童とはまったく違う愛くるしい河童が考えられ、昭和の末年近くになると、自然保護活動のシンボル的存在にもなった。また、公害を伝えにきた河童の話のような、その時代の風潮にあった新しい伝説も生みだされつつある。 本書では、明治から大正、昭和へと時代の流れに沿って、河童に関する研究、河童を題材とした文学作品、美術、工芸、演劇、音楽、等々を紹介し、河童と庶民文化との関係を探ることにする。」(本書「はじめに」より) 「そういうわけで、本書は河童関係の文芸作品と河童論を中心に据え、河童を題材とした絵画や楽曲、演劇、民芸品、それに河童関係団体の動向や世相についても言及し、年代順に並べてある。いわば、年毎に、河童に関係のある、ありとあらゆる事柄を「ごった煮」にしたものといったところだが、まだ十分に煮えていないので「ごった混ぜ」にしたものといった方がよいかも知れない。」(本書「あとがき」より) 前著『河童伝承大事典』(2005年、岩田書院刊、品切)に次ぐ、著者のライフワーク。 |
【主要目次】カラー口絵 本書に収録した本の表紙画72点 |
第1章 明 治 期 |