和紙つくりの歴史と技法

久米 康生 著
(和紙文化研究会代表/1921年生まれ)

2008年3月刊
A5判・206頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-87294-503-4 C0021 \2800E
2800円 (税別)

先行する和紙研究書を再考し、中国の紙史研究も重視して、より広い視野で和紙文化を客観的に考証する地道な研究会をかさね、会誌『和紙文化研究』を発行してきた「和紙文化研究会」(1989年創立)の研究の成果。
従来の通説を正し、和紙つくりの技法と歴史をわかりやすく記述する。
【主要目次】 

T 造紙の源流
(紙つくりは前漢期の始まる/古代絮紙の「絮」の解釈/造紙原初期の澆紙法/固定式布簾から組立式紙簾へ/紙料液を均質にする紙薬/大判の紙と薄紙をつくる技法/樹皮紙の製法/竹紙の製法)
U 料紙加工の技法
(墨筆で書写するのにふさわしく/紙をみがき平滑にする/墨汁のにじみを止める/紙を染め美しくする/千変万化の文様染め―流沙紙と墨流し/金銀箔できらびやかに飾る/文様を印刷する)
V 古代日本の紙
(造紙術の朝鮮への伝播/渡来人が伝えた造紙法/奈良時代の生産機構/正倉院文書と写経の料紙/延喜式の諸規定/漉き方による紙質判定の矛盾/より薄く強靭な紙をつくる「流し漉き」/優美な和歌の料紙/中央の紙と地方産紙)
W 多様化した中世の和紙
(優位を確立した地方産紙/繭肌のような皺のある檀紙と引合紙/武家社会にふさわしい杉原紙/高級な文書用の奉書紙/生漉きで用途の広い美濃紙/平滑で典雅な鳥子紙/極薄でねばり強い奈良・吉野の紙/製法面からみた主要紙の特徴)
X 近世町人社会の紙
(町人層の需要で重要物資に/流通の仕組みと専売制/近世の主要な紙種とその主産地/半紙・小半紙と半切紙/庶民の生活に密着した加工素材として/紙寸法の移り変り/紙の表と裏/簀目の数と紗漉き)
Y 近代和紙業界の変容
(製紙環境の急激な変革/和紙原料の多様化/洋紙と競った量産方式の試み/連漉器と仕上げ寸法の大判化/新しい需要に対応した紙/太平洋戦争後の急速な衰退/伝統技法へ回帰の動き)
主要参考文献


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