柳田国男・同時代史としての「民俗学」
柳田国男研究D
 (『柳田国男研究年報』改題)

柳田国男研究会編

2007年11月刊
A5判・280頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-87294-491-4 C3339 \6400E
6400 (税別)

「本書の表題を「柳田国男・同時代史としての民俗学」としたのは、編集を担当した会員が日頃から抱いていた、現在の日本民俗学のあり方に対するある違和感を、書名に反映させたかったからです。それは、民俗学の意義を現実社会での実用に求め、その目的を一般選挙に効果を挙げることと定めた柳田国男の理念が、はたして現在の民俗学界にも活きて継承されているのだろうか、というものです。
 本書に収載された、杉本仁「『野の学』の切り捨て−戦後民俗学論争−」、室井康成「同 情と内省の同時代史へ−柳田国男の政治をめぐる『民俗』への眼差し−」の二編の論考は、そのような違和感(すなわち、現状に対する危機感)が執筆の動機ともなっています。わけても杉本論文は、柳田の問いを駆動した社会的な問題意識が、アカデミズムにおける民俗学の組織化に伴い、次第に薄弱としていった原因と軌跡を、当時の関係者の言説を広く渉猟することで明らかにしています。」(本書「あとがき」より)
【主要目次】 

同情と内省の同時代史へ────室井 康成
−柳田国男の政治をめぐる民俗への眼差し−
山人・漂泊民探究────小野  浩
−飯倉照平編『柳田国男・南方熊楠往復書簡集』を読む(1)−
『東国古道記』と信州地方史─────伊藤 純郎
佐渡の鵜島・甲斐の鵜島─────影山 正美
−柳田国男における海と山の問題に寄せて−
柳田国男の山脈─────荒井 庸一
−高木誠一と磐城民俗研究会をめぐる人びと−
切り捨てられた「野の学」─────杉本  仁
−戦後の日本民俗学論争(1945-58年)−



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