戦国武将英雄譚の誕生

橋本 章 著
(京都文化博物館学芸員/1968年生まれ)


2016年7月刊
A5判・192頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-970-2 C3039
2800円 (税別)
評者:岡本真生(『京都民俗』34  pp71-75  2016.11)評者:及川祥平(『日本民俗学』292  pp147-152  2017.11)
戦国武将たちは、それぞれに歴史にその名を刻み、数々の逸話を残してこの世を去っていった。彼らの生前の行状や逸話などは、やがて人びとの口の端にのぼるようになり、起承転結が整えられ脚色が加えられるなどして、語り継がれる「物語」となっていった。…
そして現代。前近代から近代へと時代の中を駆け抜けていった戦国武将の物語は、時代の中で消え去るのではなく、新たな生命力を与えられて、社会に対する明確な意義をもって、強力に語り継がれている。…本書では六人の戦国武将を取り上げ、その生前の活動についてよりも、彼らが活躍した後、その行状がどのように語られ、そしてその語りがどのように変化してきたのかについて論述した。
【主要目次】

序 章 歴女の登場とその背景

第一章 明智光秀 −物語化される悲劇の戦国武将− 
      明智光秀は「能吏」か「謀反人」か
      京都に残る明智光秀の最期を物語る史跡
      光秀の善政の記憶と神になる光秀

第二章 豊臣秀吉 −神になった戦国武将の没落と復活−
      神になった秀吉と豊国神社の栄枯盛衰
      復活する豊国神社と再び神となった豊臣秀吉
      長浜の町場と豊臣秀吉への信仰の背景

第三章 山内一豊 −教科書によってつくられた人物像−
      一豊名馬購入譚の元資料
      学校教育の普及・転換と山内一豊名馬購入譚

第四章 石田三成 −義の武将が誕生するまで−
      貶められる三成と称賛される三成
      郷土の偉人としての三成顕彰の動き
      ゆかりの地における三成顕彰活動の進展

第五章 長宗我部盛親 −戦国武将の復権と勤王の志士−
      近世京都の地誌にみる蓮光寺
      長宗我部一族の栄枯盛衰
      長宗我部氏をめぐる言説の展開

第六章 小堀遠州 −地方が生き残るために復活した戦国武将−
      小堀遠州と小室藩の盛衰
      近代国家の建設と揺れるふるさとの実情
      小堀遠州が郷土の賢人として顕彰されるまで

終 章 それからの戦国武将と現代
      戦国武将の事績から紡ぎ出される「物語」
      近代の展開と戦国武将
      戦国武将と現代社会
      戦国武将の民俗誌を記述する

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