東アジア梵鐘生産史の研究

五十川 伸矢 著
(京都橘大学教授/1950年生まれ)


2016年2月刊
B5判・254頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-952-8 C3021
6800円 (税別)
本書は考古学を専攻する著者が、東アジアに生成展開してきた梵鐘について、坪井良平氏が解明された研究成果を確認するとともに、新しい資料と新しい視点も追加して考察したものである。
新しい資料とは、中国に現存する唐鐘をはじめとする中国古鐘の実物資料のことを指す。これらの古鐘資料については、これまで多くの研究者が注目してきたが、様式と技術の両面にわたる十分な調査はまだまだおこなわれていない。本書では、著者が中国各地にでかけて古鐘の観察をおこなった結果をもとに検討する。
新しい視点とは、梵鐘製作における造形(鋳型作り)と鋳造(溶金注入)の技術に関して、鋳造遺跡・梵鐘の実物を対象にして、鋳鐘民俗技術を参考にしながら、さまざまな角度から検討をおこなったことである。
【主要目次】

第1章 梵鐘研究への招待
      梵鐘とはどんなものか/梵鐘研究の軌跡

第2章 梵鐘鋳造遺跡
      日本の梵鐘鋳造遺跡/中国・韓国の梵鐘鋳造遺跡/
      梵鐘鋳造の造形技術の変化/鋳造遺跡からみた梵鐘生産

第3章 日本鐘の様式と技術
      日本鐘の様式/日本鐘の技術/
      古代的梵鐘の成立展開と中世的梵鐘の生成過程/
      関東物部姓鋳物師の梵鐘づくり/
      丹治姓鋳物師の梵鐘づくり/日本古代中世の鋳鐘生産

第4章 中国鐘の様式と技術
      中国鐘の調査研究/陳鐘の様式と技術/
      唐鐘の様式と技術/唐代以降元代の中国鐘の様式と技術

第5章 朝鮮古鐘の様式と技術
      朝鮮古鐘の調査研究/朝鮮古鐘の様式と技術/
      朝鮮古鐘の鋳鐘技術

第6章 鋳鐘民俗の世界
      日本の鋳鐘民俗/中国の鋳鐘民俗/南屏晩鐘の鋳造/
      韓国の鋳鐘民俗/絵で見てわかる梵鐘鋳造技術

第7章 梵鐘をめぐる東アジア文化交流
      日本鐘成立の経緯/日本鐘の展開と定型化への道/
      混淆型式鐘の意味/東アジア文化交流の世界

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