相給村落からみた近世社会
―上総国山辺郡台方村の総合研究―

渡辺 尚志 編
(一橋大学教授/1957年生まれ)

2016年2月刊
A5判・276頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-944-3 C3021
6000円 (税別)
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評者:芦田伸一(『千葉史学』69  pp85-91  2016.11)評者:中村塑(『日本歴史』825  pp99-100  2017.02)評者:小田真裕(『歴史学研究』958  pp62  21017.06)評者:澤村怜薫(『民衆史研究』93  pp65-69  2017.05)
「本書の対象とするのは上総国山辺郡台方村(現千葉県東金市)である。一つの村が複数の領主の所領に分割される相(あい)給(きゆう)村落は、領主支配と村落構造の関係を追究するための 好素材として注目され、多くの研究が積み重ねられてきた。(中略)こうした先行研究をふまえつつ、われわれの共同研究は以下の点を特に強く意識している。
 第一は、村落史・地域社会史研究の立場から相給村落の分析を深めたい、ということである。本書が対象とする台方村は、四つの知行所に分かれているとともに、六つの小集落(入地)が存在する。そして、知行所と集落とは明確なかたちでは対応していない。そこで、村請制村・知行所・小集落の相互関係が問題となる。また、村内には親類・同族・五人組・講など多様な結びつきが存在する。一方、村外に目を向けると、そこにもまた多彩な社会的結合を見出すことができる。こうした諸関係を、幕府・領主の支配も視野に入れつつ、トータルに解明したいというのがわれわれの終極目標である。
 第二は、第一の課題を解明するために、できるだけ多くの史料群を分析対象にしたいということである。相給村落研究の難しさの一つに、複数の知行所のすべてにわたって史料が残っていないことが多いという問題がある。(中略)さいわい、台方村の場合には、四給のすべてにわたって地方文書が残っており、さらに台方区有文書も存在する。こうしたメリットを生かして、前記の課題に迫りたい。」(本書「序章」渡辺執筆より)
【主要目次】 
口絵・ほか  
序 章 渡辺尚志
中谷正克
第一章
 台方村の村運営
  ―入地、知行所「組」、知行所「入地組」の分析から―
中谷 正克
第二章
 台方村の小集落と知行所
  ―村運営における入地の位置をめぐって―
小松 賢司
第三章
 近世後期東上総における在払米の形成と流通
高橋 伸拓
第四章
 備荒貯蓄にみる百姓・領主関係
  ―「積石一件」を事例として
渡辺 尚志
付 章
 地域における「明治維新」の記憶と記録
  ―真忠組騒動を事例として―
宮間 純一
あとがき・ほか  

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