近世琉球の王府芸能と唐・大和


板谷 徹 著
(沖縄県立芸術大学名誉教授/1947年生まれ)


2015年12月刊
A5判・392頁・上製本・函入
ISBN978-4-86602-940-5 C3039
9900円 (税別)
評者:渡辺美季(『琉球新報』2016.04.03)評者:島村幸一(『日本歴史』822  pp98-100  2016.11)
本書は、近世琉球に行われた王府芸能(御(お)冠(かん)船(せん)踊り)に関わる論文を編んで一冊とした。
王府芸能は、中国皇帝が琉球王国を冊封する冠船、薩摩藩主、徳川将軍に対する外交儀礼に用いられ、組踊り・端踊り(現在の琉球舞踊)や、中国伝来の御座楽・唐躍が含まれる。
「沖縄の芸能研究を、芸能の現場に伝わる口頭伝承から引き離し、史実に基づく歴史研究とすべきことは池宮正治先生の説くところでもある。加えて本書にいう王府芸能は、時代の趣味、観客の嗜好によってのみ律せられものではなく、唐・大和との外交関係、王府の外交姿勢に規定される部分が大きい。従って芸能の動向は近世琉球の政治史・外交史のなかで読み解かなければならない。」(「あとがき」より)
【主要目次】

 T 御冠船踊りの相貌
1 御冠船踊りの相貌 ―芸をめぐる人と場―
2 親雲上(ぺーちん)の鬚 ―御冠船踊りにおける芸の前提―

 U 唐・大和の御取合と若衆の役割
3 唐・大和の御取合と若衆
    ―琉球における躍童子と楽童子―
4 楽童子の成立 ―紋(あや)船使から江戸立へ―
   島津氏と琉球の御座楽 ―紋船使末期から寛永年間へ
   江戸立における楽童子の成立

 V 冊封使の観た御冠船踊り
5 御冠船踊りを観る冊封使 ―唐の御取持―
6 故事としての御冠船踊り ―尚敬冊封の画期―

 W 王子使者の御膳進上と薩摩藩主
7 近世琉球における王子使者と御膳進上
8 近世琉球の対薩摩関係における芸能の役割

 X 琉球に伝承された中国演劇
9 唐躍について
10 唐躍台本『琉球劇文和解』の成立と島津重豪

資料
楽童子一覧/仲秋宴御礼式之御次第/王子使者一覧/薩琉関係芸能年表/ほか

巻末カラー写真14p
仲秋宴の舞台/楽童子/琉球劇文和解/唐躍の写本台本と絵画資料

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