東京北東地域の中世的空間
岩田選書◎地域の中世16

加増 啓二 著
(足立区地域文化課文化財係長/1961年生まれ)


2015年12月刊
A5判・250頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-939-9 C3321
3000円 (税別)
「本書は、これまで中世地域史研究の蓄積が乏しかった首都東京の北東地域(現在の足立区域周辺と隅田川流域)について、歴史的な三つの局面を主軸に考察することを試みたい。三局面とは、信仰・伝説・歴史地名である。読者の中には、なぜ政治支配史を捨象するのか疑問に持たれる向きもあるだろう。筆者の意図するところは、有為転変する政治支配はひとまず措き、時代的な残像(書名に謂う「中世的空間」)を地域の中に留める事象が前述三局面に強いことを勘案し、このような構成にした。」(序章より)
【主要目次】

序 章

第一章 在地が抱く信仰空間
第一節 経巻に護られる小天地 ―大般若経と地域鎮守―
第二節 時衆と源氏伝説 ―白幡道場と星兜鉢の謎―
 付 論 社に坐す仏 ―地域の中世神仏習合資料―
第三節 地縁の碑 ―中近世地域社会の造塔―

第二章 水域が育む伝説空間
第一節 水辺を彩る女性往生譚
      ―中世入間川下流地域の伝説世界―
 付 論 江戸六阿弥陀伝説異聞 ―水底から甦る姫御前―
 付 論 絵で解く中世 ―古写真に収められた縁起絵―
第二節 石枕のある里 ―中世寺院周辺と伝説―
第三節 絵図に嵌める中世
      ―地域由緒をめぐる文書・旧記・絵図の相剋―

第三章 地名に潜む歴史空間
第一節 源頼朝の「隅田宿」通過と足立遠元
      ―足立・豊島・葛西三郡の結節地点―
第二節 「石浜」と中世戦記
      ―敗走する足利尊氏が見た風景―
 付 論 「石浜」と隅田川の印地打ち ―礫の行き交う国堺―
第三節 「隅田川関屋の里」の原風景
      ―取り残された中世東京の地名―
 付 論 「関屋の里」と中世歌人 ―藤原光俊の旅路の果て―
 付 論 下足立「三俣」は何処か ―水域の盲点―

終 章

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