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民俗芸能に残る古猿楽の芸能 山路 興造 著 (元 藝能史研究会代表委員/1939年生まれ) 2025年1月刊 A5判・150頁・並製本・カバー装 ISBN978-4-86602-182-9 C3039 1800円 (税別) |
「此処に「古猿楽」の名称を用いる以上は、まず最初に、これから扱おうとしている古猿楽の定義とその範疇を規定するのが順序かと思うが、私は敢えてそれをしない。厳密な意味で民俗芸能を文献資料と同等の位置に置く為には、周到な準備と相応なスペースを必要とするからである。日本芸能史の芸態研究に、伝承資料としての民俗芸能が、どの程度の寄与をなしえるかの一つの試論とでも云えよう。 今日では一般に古猿楽の名称を与えられているのは、世阿弥が大成する以前の猿楽についてであろう。だからと云って、世阿弥の出現を境に、時代をはっきり区切って、それ以前に属する資料は古猿楽、以後がそうでないものと区別する事は、今の場合あたらない。特に民俗芸能として今日残るもののなかから、大成後の能より一段と古めかしいと思われる、又別の系統に属すると考えられる芸態のものを眺めようとするのであるから、随所に独断と誤診があろう。また民俗芸能とて、伝承に変化のないものではなく、芸能の常として流動のなかに身を置いて今日に経っている。しかしそれでも、その民俗芸能を芸態の資料として、古猿楽の姿を考えてみたいと思うのである。」(連載第1回冒頭より) 雑誌『藝能』に1966年から67年にかけて連載した、著者20歳代後半の文章をまとめる。 |
【主要目次】 |
(1) 多武峯猿楽 |
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