常陸中世史論集

糸賀(いとが) 茂男(しげお)
(常磐大学名誉教授/1948年生まれ)

2024年12月刊
A5判・286頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-173-7 C3021
6300円 (税別)
「本書は「常陸中世史」を叙述するための「各論」の用意である。すなわち、全体史(通史)は個別所論を踏まえて構成される。この関係の熟成度を知ることは困難であるが、「各論」の産出に応じて永久に全体史はその叙述を繰り返す運命にある。
 つまり、全体史(通史)としての「常陸中世史」は安易には固定しないし、総じて「茨城県史」も、否、「日本史」も同然である。しかし、より精緻な、かつ有益な叙述に出会うべく、私たちは歴史研究(個別所論作成)を続行し、相互に史実の探索と解釈を重ね、もって相乗的に叙述の質を高める宿命(使命)を負っている。
 さて、本書所収の「各論」はこの出版の動機と趣旨からして共通テーマはなく、むしろ論者の自由な自主投稿である。編者(糸賀)は巻末の紹介文(小森氏執筆)のごとき研究者歴を有し、この間交誼を得た仲間から個々に友情と学恩を与えられてきた。この度、後期高齢者となるも比較的健全な私とともに一書を為さん、との計画を立て、当面この企画に応じうる者が参画、「各論」をもって“常陸中世史論”の公開に踏み切った(編者が2021年春の叙勲に際し旭日双光章を受章したのは、この動機の一端にすぎず、むしろ私と仲間たちとの好機を得た発意である)。(糸賀「はしがき」より)
 以下論文紹介は、こちら
【主要目次】
はしがき 糸賀 茂男
茨城県史と中世古文書 糸賀 茂男
鎌倉〜南北朝期常陸野本氏の系譜と代替わり 中根 正人
南北朝・室町期の佐竹氏
−義宣・義盛期を中心に−
石橋 一展
和田昭為の佐竹氏出奔と復帰 佐々木倫朗
中世常陸国における貨幣経済 小森 正明
称名寺聖教『八千枚事』といわき長福寺開基小河佐竹氏 西岡 芳文
戦国期の常陸修験と徳川光圀の寺社改革 宮内 教男
雨引山楽法寺に残る中世墨書 寺ア 大貴
常陸の中世花崗岩製五輪塔編年と地域性 荒井美香
比毛君男
つくば市島名前野東遺跡出土の京都系かわらけの編年 川村 満博
茨城県中世史文献目録 1965-2023.3【本書掲載のQRコードから閲覧】 山縣創明編
糸賀茂男さんのあゆみと仕事方  
あとがき 論集編集事務局

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