尊徳仕法の展開とネットワーク
近世史研究叢書56

松尾(まつお) 公就(きみなり)
(立正大学非常勤講師/1955年生まれ)

2023年10月刊
A5判・304頁・上製本・函入
ISBN978-4-86602-162-1 C3321
6600円 (税別)
前著『二宮尊徳の仕法と藩政改革』(勉誠出版、2015年)が、二宮尊徳が生まれ育った小田原領での農村復興事業(仕法)や商人らの家政立て直し運動を、小田原藩政とのかかわりを意識してまとめたものであったのに対して本書は、尊徳や尊徳仕法(報徳仕法)を介しての様々な人と人との「つながり」や情報の「つながり」を、地域的な「つながり」や、時間的「つながり」などの方面から検討した。
【主要目次】
序 章 尊徳仕法とネットワーク
   (拙前著への批評に応えて/本書の構成)
第一章 尊徳仕法にみる「分度」再検討
―文政・天保期の「平均御土台米金」を考えるー
   (「聞書」にみる平均年貢高の意味/
 仕法書にみる「平均御土台」/
 「平均御土台」から「御分度」へ/
 「御分限」「御分台」から「御分度」へ)
第二章 小田原領曽比村の農民経営と尊徳仕法
   (尊徳仕法直前の曽比村と農民経営/
 曽比村の尊徳仕法/
 尊徳仕法中の農民経営)
第三章 小田原領の村柄復興仕法
   (小田原領の尊徳仕法実施/
 小田原領曽比村の村柄復興仕法/
 小田原領竹松村の悪水堀開削/
 竹松村悪水堀普請の影響)
第四章 堰・堀普請と荒地開発にみる尊徳仕法
―常州真壁郡青木村の復興仕法を中心にー
   (青木村の農村荒廃と尊徳仕法の着手/
 桜川堰と用水堀の普請/
 荒地起し返しと破畑人足)
第五章 尊徳仕法の広がりとネットワーク
   (桜町仕法とネットワーク/
 尊徳仕法地の拡大とネットワーク/
 天保飢饉と尊徳仕法のネットワーク/
 尊徳仕法の広がりと人びとの「つながり」)
第六章 報徳金返還をめぐる尊徳と小田原藩の「海防」
   (小田原仕法の「畳置」と報徳土台金/
 報徳金の用途/異国船の渡来/
 報徳金を軍用金に/
 報徳金は日光神領復興資金へ/
 報徳土台金の分割返還と受領/
 小田原大地震とペリー来航と報徳金)
第七章 小田原藩の報徳金返還と日光貸付金
―嘉永六年、二宮尊徳の「つながり」を中心に―
   (小田原大地震と尊徳/
 ペリー来航と報徳金返還問題/
 分家旗本宇津家の海防負担/
 嘉永六年の報徳金返還問題の処理)
第八章 明治維新と報徳仕法の継続問題
―富田高慶と西郷隆盛・渋沢栄一―
   (豪農古橋義真講演「富田高慶と西郷南洲」/
 富田高慶による相馬仕法継続の嘆願/
 西郷隆盛と渋沢栄一の会談)
終 章  

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