遠山霜月祭の研究

櫻井(さくらい) 弘人(ひろと)
(元 飯田市美術博物館学芸員/1959年生まれ)

2022年10月刊
A5判・746頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-143-0 C3039
17800円 (税別)
評者:小川直之(『伊那民俗』132  pp5  2023.03)評者:鈴木正崇(『日本民俗学』314  pp134-143  2023.05)
遠山(とおやま)霜月祭(しもつきまつり)は、長野県南端の飯田市(上村・南信濃地区)に伝承される湯立(ゆだて)神楽で、国の重要無形文化財に指定され、現在8か所8社で開催されている。本書は、地元飯田に生まれ、飯田市美術博物館の学芸員として長年調査をしてきた著者の研究の集大成であり、この祭りのもつ豊かな伝承世界・信仰世界を、祭りの内容や性格、村人との関係を徹底して詳細に深く掘り下げ、日本の霜月神楽そのものを解明することを目指す。
【主要目次】
序 章 遠山霜月祭を深く耕す―遠山からのまなざし
第一章 遠山と霜月祭
  (遠山というところ/祭りの呼び名/遠山霜月祭の起源伝承/実施箇所と四つのタイプ/霜月祭をおこなう神社/霜月祭の担い手)
第二章 遠山霜月祭の実際
  (霜月祭の祭日日程/本祭りの構造/共食儀礼と特殊な神饌)
第三章 遠山霜月祭の湯立
  (四タイプの湯立/上町タイプ/下栗タイプ/木沢タイプ/和田タイプ/湯立からみた遠山霜月祭の特質)
第四章 遠山霜月祭の舞
  (四タイプの舞/上町・下栗・木沢タイプ/和田タイプ/遠山霜月祭の舞の特徴)
第五章 遠山霜月祭の立願
  (霜月祭に関わる立願/神子の願/霜月祭面の奉納立願/戦時中と戦後の立願)
第六章 面からみた遠山霜月祭
  (遠山霜月祭の面/上町タイプ/下栗・木沢タイプ/和田タイプ/時代別・種類別にみた面)
第七章 遠山霜月祭の変化と変容
  (遠山氏御霊をまつる八幡神社とその他の神社/木沢八幡神社における面形舞の変容と時代背景/遠山谷における霜月祭の拡大/時代とともに変わりゆく祭り)
第八章 百姓一揆伝承と遠山霜月祭
  (錯綜する百姓一揆伝承/遠山氏の略歴と滅亡/遠山騒動をめぐる諸説/大鹿村における遠山八幡社/遠山騒動をめぐる推論)
第九章 鎌倉と遠山霜月祭
  (江儀遠山庄と鎌倉・鶴岡八幡宮/上町タイプにみる遠山八社神と鶴岡八幡宮/鶴岡八幡宮放生会との関連/鎌倉神楽と遠山霜月祭/霜月祭の再構成と宗教者)
終 章 結語と課題
附資料
  (祭の式次第/祭の面一覧/祭を開催する主な神社平面図/遠山地方の歴史年表)

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