オトタチバナヒメ伝承

入江 英弥(いりえ ひでや)
(弘前学院大学教授/1959年生まれ)


2020年6月刊
A5判・404頁・上製本・カバー装
ISBN978-4-86602-101-0 C3039
8400円 (税別)
評者:内藤浩誉(『口承文芸研究』44  pp276-280  2021.03)
「本書は、オトタチバナヒメ伝承を文学と伝説の両面から考察して、その全体を把握することを目的とする。対象とする資料は、総体として捉えるために記載文芸や口承文芸といったジャンルにこだわらずに取り上げる。
 現在、オトタチバナヒメ伝説が東京湾沿岸部を中心に一定の範囲に見られる。これは、古事記の弟橘比売命入水譚やそれに基づく話の影響によると考えられる。そのため、古事記の話の把握が必要となる。そこで、第一部において伝説の捉え方について探った上で、第二部において古代および中世の文献に見られる弟橘媛入水譚を取り上げる。それから、第三部においてオトタチバナヒメ伝説を考察していくことにする。」(序章より)
【主要目次】

序 章 本書の目的と概容

第一部 伝説をいかに捉えるか
第一章 柳田国男の伝説研究 ―『伝説』を中心として―
第二章 折口信夫の伝説研究 ―「愛護若」を中心として―

第二部 弟橘媛入水譚を考える
第一章 『古事記』弟橘比売命入水譚研究史
第二章 『古事記』弟橘比売命入水譚1
     ―「走水の海」を考える―
第三章 『古事記』弟橘比売命入水譚2 ―海難説話を視点に据えて―
第四章 『常陸国風土記』の倭武天皇と大橘比売命伝承
     ―行方郡相鹿・大生里条を中心として―
第五章 中世における日本武尊水難の話
     ―『神明鏡』の海難説話をめぐって―

第三部 オトタチバナヒメ伝説を考える
第一章 オトタチバナヒメ伝説の分類
第二章 オトタチバナヒメ伝説の分布
第三章 オトタチバナヒメ伝説と祭り
     ―千葉県富津市西大和田吾妻神社例大祭を事例に―
第四章 船大工が伝えるオトタチバナヒメ
     ―埼玉県寄居町末野の船下ろし儀礼をめぐって―
第五章 神奈川県横須賀市走水のヤマトタケルとオトタチバナヒメ伝説
第六章 オトタチバナヒメを祀る神社の伝承

終 章 本書のまとめ

参考文献/事項索引

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