中世東国の村落形成
中世前期常陸国を中心に
岩田選書◎地域の中世21

高橋 裕文(たかはし ひろぶみ)
(那珂市史編さん専門委員/1948年生まれ)


2020年4月刊
A5判・174頁・並製本・カバー装
ISBN978-4-86602-097-6 C3021
2600円 (税別)
評者:薗部寿樹(『米沢史学』36  pp125-128  2020.10)
「ここでは、平安・鎌倉期の社領(荘園)における沙汰人・住人の動向、惣荘的結合〔第一章〕、地頭支配下の郷村での農民の闘いと惣郷による用水・山野草木の管理〔第二章〕、さらには郷村の自治を担った役所の検注・年貢・下行などの実態〔第三章〕、および荘園の惣荘的結合が南北朝以後も形を変えて存続したこと〔第四章〕などを示した。
 そして最後に、こうした事実を、個々の問題と捉えるのではなく共通する部分をまとめるならば、惣郷が惣荘・郷村結合を表す文言であることから、これへの検討を加えることとした〔終章〕
 こうした総合的な郷村結合の形成および展開の過程を見れば、南北朝・室町期の東国農村の自立的動向も、決して孤立したものではなく、一連の流れとして捉えられるのではないかと考えられる。」(本書「まえがき」より)
【主要目次】

第一章 官務家領常陸国吉田社領における沙汰人・住人の動向
      −平安・鎌倉期東国の村落形成について−

第二章 鎌倉期東国における地頭支配と郷村の動向
      −常陸国真壁郡竹来・亀熊・長岡郷を中心に−

第三章 中世前期東国の村落構造と村役所の機能
      −鹿島神宮文書「大賀村検注取帳副日記」の分析を通して−

第四章 常陸国信太荘の在地動向と惣荘的結合
      −中世前・後期を通じた荘園的枠組みの存続−

終 章 中世における惣郷=郷村結合について

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