「本書は、幕末福井藩の全体像を確認することを目標とし、政治はもちろん経済や社会、及び領民を含む藩政全体と維新変革との関わりをまとめたものである。
なお、執筆にあたっては次のことに留意した。
@本書の始まりを弘化・嘉永期(1844-54)とし、天保期(1830-44)は簡略な扱いとした。
A本書の終わりを明治4年(1871)の廃藩置県に置き、それを目処に筆を擱いた。
B第2章「殖産興業策の推進と文久期の福井藩」にもっとも多くのページを割いた。殖産 興業策が本書の重要な柱になると考えたからである。
C通史的な展開を目指したが、一般に周知の所は簡潔に扱い、そうでない部分にページを 多く割いた。
D本書では福井藩で一貫させた。越前藩と称することは、越前藩内に存在した他の譜代諸藩等を無視し、却って福井藩の理解を誤らせると考えるからである。
E本編の他に5人の研究者による小テーマによる論考を加えた。」
(本川「はしがき」より。一部改変) |